コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

年配の部下とのコミュニケーション~年配者への配慮を持ちながら、職場の管理者としての役割を果たす戦術を考える~


年配職人とのコミュニケーションに悩む三〇代半ばの管理者とのコーチングです。
中堅製造メーカーに勤務する川畑さん。年配職人社員とのコミュニケーションに悩み、コーチングを受けることになりました。

「はじめまして。川畑さんの仕事は、管理部門で業務管理が主だということですが、どんなお仕事をされているんでしょうか?」
「はい、私は、製造工程表に基づいて、仕事の割り振りや資材の調達と管理を主にしています」

「幅広い業務ですね。やりがいを感じるところはありますか?」
「仕事は楽しいんですが、現場の職人さんは皆さん、親父みたいな年齢の人ばかりなので、なかなか・・・」

「何か、思い切って全力投球することが出来ていないように感じるんですが、何か川畑さんの気持ちを阻むものがありそうですね?」
「はい、職人さんは、コミュニケーションをとることもまっすぐ、実直にストレートに来るんで・・たとえば、急ぎの仕事を頼もうとしたりすると、『今出来んことぐらい見て判らんか!』とか、『そんなの自分でやれ!俺には関係ネェ』で片付けられてしまって。親父のような年代なんで、言われたらそれ以上は反論出来なくて・・自分も、管理者になる前は、製造の現場にいたんで、ちょっとはモノが造れる技術はあるんです。だから、どうしても急ぎだと、自分でやっちゃうしかないなぁと思って現場に入ると、課長からは『お前がそんなことするから、あそこで職人が2人も遊ぶじゃないか!管理者は管理が出来て初めて仕事が出来ると言うんだ。自分でやってどうする?』と、こっぴどく叱られる始末で、どうしていいやら分からないんです」

事情を説明している間に、すっかりしょげ返ってしまった川畑さん。気の毒ですが、本来の自分の役割を全うするための方法を探らなければ、解決しないことにまだ、気づく余裕が見られません。

「川畑さんはどうしたいの?」
「え?・・・」

「自分の業務を全うしたいんですか?」
「もちろんです!当たり前じゃないですか!そのために・・」

相談に来ているんだとばかりに、眼が殺気立ちます。

「コーチの私に出来ることが何かありますか?」
「いやぁ、初めて逢った人に職人さんたちを教育して欲しいといったって、彼らは心を拓きませんよ。プライドが高くて、閉鎖的なものの考え方をする人たちですから、あなたの言うことを素直に聞くとは思いません」

「そうですね。私がいくら、コミュニケーション能力を発揮して、川端さんとの関係を穏やかにして欲しいと申し入れたり、職人さんにコミュニケーションのあり方について教育しても、所詮、職人さんたちにはおせっかいとしか理解されません。ところで、職人さんたちを認めるべき点はどこですか?」
「職人さんの認められる部分は、やはり技術力の高さでしょう。人間的にも実直だしまじめだし・・」

「尊敬出来る?」
「職人としては尊敬出来ます。でも、人間的かというと・・・すぐ大声出すし、すぐ怒鳴るし」

「川畑さんにだけですか?」
「いや・・・どうかなぁ・・課長には怒鳴ってないから、自分たち、若い者だけにかもしれません」

「若いから馬鹿にしてるんだろうか?」
「馬鹿にすると言うか、頼りなく思ってるかもしれません。何せ、相手はこの道一筋四十年とか四十五年とかですから・・」

「子供と同じ世代の社員には、ついつい態度が横柄になるのかしら?」
「年齢と言うよりも、技術力が不足しているからじゃないかな?職人は、プライドが高いですからね」

「なるほど、プライドが高いのね。それは仕事に反映されているの?」
「はい、わずかな仕上がり具合が気に入らなくても、もう一回作るからと言って、勝手に納期を延長したりして、管理者としては、納品期日に間に合わないことのほうにやきもきさせられますよね」

「いつもいつも、納期を無視して仕事をしているんですか?」
「いや、もちろんいつもじゃありません。多くは守ってくれるんですが、どうしても見過ごせない傷が残ったとか、R(カーブ)の仕上がりが気になるとか、絶対譲れないポイントでは、納期度外視ですね」

「会社として困るんじゃないの?」
「もちろんです。後工程のセッティングに影響が出るわけですし、会社の信用にもかかわりますから、そういう意味では、全体への影響もあります」

「そんな時、川畑さんはどうかかわるの?」
「そんなこと、いちいち気にしてたら利益も減るし、信頼もなくす。検査は、品質管理が判断するから、手直ししなくていいから早く出して・・と・・」

「もし、川畑さんが職人の立場だったら、そういう管理者をどう評価する?」
「・・・・」

「職人としての仕事に敬意をもっていると思えるかしら?」
「・・・・」

「職人としてのプライドが傷つけられたとは思わないかしら?」
「・・・・」

「その程度の仕上がり具合でいいんだ。責任は管理者が取るんだから、多少手を抜いても簡単に作業をすればいいんだ。それだったら楽なもんだって手を抜くことを考えないかしら?」
「・・・・」

「相手の立場でモノを見ることは難しいね。ただ、今、このコミュニケーションの不成立は、職人さんにだけ原因があるとは思えないのね。川畑さんは、自分の業務を一生懸命全うしようと努力していることはとてもよく理解出来ます。ただ、仕事はすべての立場の人とのリレーションで出来るものですから、後工程の人への影響を考えることも大切ですが、職人さんとのコミュニケーションの工夫もしないと、それこそ後工程に多大な被害が出るんじゃないかしら?」
「そうですね・・話しているうちに、だんだん、自分のことしか考えていないことに気づきまして・・」

「反省も大切ですね。ただ、次にどうしたらいいかを考えましょうか?次回のコーチングも希望なさいますか?」
「はい、ぜひお願いします」

三〇分は短すぎる時間でした。
自分の業務を全うしようとする者同士、ガチンコで向き合うことが、かえって、コミュニケーションのゆとりを阻むことになった事例です。
お互いが相手を認め合うことが大切なことです。
政府の発表では、七五歳以上の高齢者が、総人口の一〇%を超えたとありました。
今後、地域においても、ますます高齢者とのコミュニケーションの難しさが、人間関係を悪化させるかもしれません。職場での経験は、一生を楽しく生きるためのトレーニングでもあります。
川畑さんの今後の人生に役立つコーチングを目指して、セッションは続いています。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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年配者との交渉が上手くいかない~仕事がうまくいかないのは、コミュニケーションのとり方に原因があった~


インテリアデザイナー歴六年。これからますます仕事に、プライベートに人生を楽しみたいとおっしゃる、前向きな松永さん。住宅メーカーと組んで仕事をすることが多いため、内装の打ち合わせに同行することが多く、新しい家が完成するたびに、大きな喜びを感じるそうです。また、自分が手がけた家の写真撮影を許可していただける場合には、アルバムにして、次のお客様の参考にしようと、常に前向きに自分の仕事に工夫を凝らしながら楽しんでいました。
ところが、今年の初め、正月気分が抜けないくらい早々にいただいたお宅の打ち合わせ以後、すっかり気持ちがふさがり、このごろは、仕事も休みがちで今後どうしたらいいのかというテーマでのセッションでした。

「おはようございます。とても疲れていらっしゃるようですが、お体の具合はいかがですか?」
「すみません。病気とかではないんですが、なんとなく全身に力が入らなくて・・」

「これまでも、そんなことがあったんですか?」
「いえ、病気一つしたことがなくて、おかげさまで医者に知り合いが出来ません。仕事でのクライアント以外は・・」

「なるほど、そのくらいお元気な方が、なんとなく全身に力が入らなくてとおっしゃる。何かお心当たりがあるようですね?」
「はい、今年の正月にいただいた仕事が、お医者さんのご自宅の新築だったんですね。若いご夫婦といっしょに暮らすから二世帯住宅をというお話でした」

「二世帯住宅。仕事も倍という感覚でお引き受けになるんですか?」
「そうですね。基本的には、親御さんの居住部分は、和のテイストでまとめることが多いですし、お若い方の住居部分は洋のテイストでまとめることが多いので二つの仕事を同時に進行させるという感覚で心構えをします」

「それは大変ですね。1度に二つの物件を扱うわけでしょう?松永さんお一人でされるんですか。それとも人は使ってらっしゃるんですか?」
「はい、スタッフは三名います。いずれも主婦の方で、パート契約をしています。仕事があるとき、時間があるだけ働いていただくというスタイルです」

「そのお歳で、年上の方を使われるのはしんどいでしょう?」
「そうですね。三十三歳にしてこの発展は、ほんとうに幸運だったと思います。ただ、この年齢が災いしたのかなぁ・・」

「どんな問題を抱えられたのでしょうか?」
「そのお宅のクライアントが、私の提案を、ことごとく否定するんですね。でも、同じことをスタッフが表現を少し変えてお客さんに打診させると、それはOK!って二つ返事で話が進むんです」

「具体的に伺ってもいいですか?」
「はい、たとえば、『親御さんのお宅の玄関の壁を利用して、お写真を飾ったらいかがでしょうか?』と提案させていただいたんですね。とてもお孫ちゃんたちと仲が良いお宅なので、やり取りを聞いていたら、ほのぼのとしていい雰囲気だったんです。そこで、お玄関横の壁をフォトギャラリーのようにして、写真を5・6点、飾ったらいかがでしょうか?という提案をしたんです。ところが、最初は、『医師仲間が尋ねてきたとき、落ち着きのない家だと思われるのはかなわん。そんなことは、若いもののやることだと』頑として受け付けなかったんです。
ところが、スタッフが『お孫さん思いのおじいちゃまのお気持ちを、写真を飾ることで表現させていただけると嬉しいですねぇ』・・と言ったとたん『それはいい!ぜひ、そうしてください。写真を選ばなくちゃいけないなぁ』と、がらりと変わって『すぐに写真と写真を飾る額を選んでください』と、発注がきたんです」

「結果はオーライですねぇ」
「もちろん、結果だけを見ればいいんですが、どうして同じ提案なのに、私は駄目で、スタッフはいいのか、腑に落ちなくて・・・」

「スタッフの方は、この件はなんておっしゃってるんですか?」
「コーチと同じです。結果が良かったんだから、それでいいんじゃないかって?」

「なるほど。でも、松永さんは納得出来ていないんですよね」
「はい、結果は確かに良かったんですが、なぜ、私ではだめで、スタッフならいいのか。それが知りたいです」

「それを知ることは、今後にどんな影響を与えますか?」
「年配者との交渉がうまくいくと思います」

「なるほどね、交渉がうまくいくわけですね? ところで、スタッフさんは、お客様と交渉しているんだろうか?」
「ん??どういうことですか?」

「言葉尻を捕まえて申し訳ないんですけれどもね、交渉しているのかな?お客様のご相談に乗っているというふうに考えてみると、松永さんとスタッフさんの違いは何でしょうか?」
「ん・・・お客様とは、商談や交渉はしますが、単なるご相談に乗っている関係であると思ったことがないので・・・」

「なるほどね。スタッフさんは、お客様の孫を思う気持ちをうまく褒めて、提案をしていますよね?」
「そうですね・・・」

「交渉は大切だと思うんですが、施主さんやそのご家族の気持ちを引き出すような進め方をすると、何か障害になることがありますか?」
「うん・・私が若いということは、問題ではないのでしょうか?」

「松永さんご自身はどう考えますか?」
「スタッフがみんな年配者だから、上手くいっているとばっかり思っていました」

「そうですね、確かに、日本という国では、歳をとっているほうが、信頼を得やすい気がします。でも、それだからといって、すべてが上手くいってないわけではないように思いますがいかがでしょうか?」
「私には、相手に配慮するという視点が欠けていたんでしょうか?」

「率直に、今までのお話から、私はそう感じました」
「そうか・・クライアントとは交渉するもんだと思っていました。お金をいただくんだから、責任ある仕事をしなくちゃいけないと思って、力が入ってたかも・・」

「インテリアデザイナーの仕事がしたいのか、お客様の喜ぶ顔を見る手段として、インテリアデザイナーでありたいのか、どちらなんでしょう」
「うん・・・難しいけど、それをゆっくり探してみます。何か、目先のことだけ考えていたような気がします。歳は急いで取れないし。ちょっと気持ちが楽になりました。ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとうございました。次回のセッションは・・・」

答えがすぐに見つかるセッションばかりではありません。
時間をかけて支援出来る、コーチの仕事の魅力の一つですね。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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ボランティア団体の一人の理事の悩み~コミュニケーションを拡大する~


日本にもたくさんのボランティア団体が存在し、それぞれの活動趣旨に賛同した人は、会員として活動しています。
鳴海さんもそんな一人で、今年度、初めて理事になりました。理事の一人として理事会に顔を出し、活動の方向や戦略を立案する側に立てると思い、ワクワクしながら1回目の会議に参加しました。
初めての会議ということあり、緊張して皆さんの話を聞いている間に会議は終了したが、何かしっくりしない気がして、なんとなく心が重い感じでした。最初ということもあり、まぁ、次はちゃんと発言出来るでしょうと、自分を納得させるようにして帰宅しました。
二回、三回と、会議は月に1度行われましたが、終わったあと、毎回何か心に重いものを感じて家に戻っていました。
任期は1年で、再任は妨げられないそうであっても、通常は十二回の会議に出席すると任期満了となるそうです。
今日こそは、すっきり「やった!」と満足する会議に参加にしたいと願い、はりきって時間前に会議場へ到着しました。

ところが、10名の理事会メンバーのうちお一人しか会場に入っていません。「皆さん遅いですね?」と挨拶代わりに声を掛け合うも、開始七分前になっても会長すら会場入りしてきません。
何かが違うと思いながら、その日の会議に出席した後、コーチングの無料体験コースに参加されました。
「はじめまして。コーチの藤原です」
「今、どんな感じですか?」

「今日あったことで、何か気持ちがスッキリしないというか、満足していないんです」
「どんなことでも、スッキリしない、満足しないという重荷を下ろすためにも、コーチングの無料体験を楽しみましょう」

「はい、よろしくお願いします。」
鳴海さんは、硬い表情を浮かべて、藤原コーチとあいさつを交わしました。
「鳴海さん、今日、あなたが満足出来なかったことは何ですか?」
いきなりの質問でしたので、鳴海さんは少し戸惑った表情を浮かべながらも、「実は、今日、ある奉仕活動をしている団体の会議があったんですが、なんかスッキリしていないんですよね。
もうほぼ1年の任期を終えようとしているのに、毎回、何か遣り残しているような気がして、気持ち悪くて・・・」

「なるほど、スッキリしないというか、気持ち悪い感じが残っているんですね」
「ええ、そうなんです。気持ち悪いっていう感じのほうが強いかな?」

「なるほど。どんな点が気持ち悪いんでしょうか?ちょっと漠然とした質問ですか?」
「いえ・・・なんていうのかなぁ? 言いたいことが言えてないって感じですかねぇ・・・。いや違うかな?言いたいことは言ってるんだけど、すんなり言えてないっていうか・・・」

「うん、ちょっとあいまいな感じなんだけれども、言いたいことがすんなり言えないっていうことが、気持ち悪い原因なんでしょうか?」
「ん、まぁ、そんな感じかな?」

「言ってるのに言えないってどんなことなんでしょうか?お差し支えなければ具体的に伺っても良いですか?」
「はい。あの、私が所属しているボランティア団体は女性が多い団体です。役員のほとんどが女性なので、会議と言っても雑談会みたいなものなんです。どこからが議案の審議で、どこからが雑談か分からないんです。今日なんかは、会長ですら、会議室にあわてて入ってきたのが五分前だし・・・」

「なるほど、開始時間ぎりぎりに入った会長に対してどんな感じを抱いたのでしょうか?」
「そうですね、時間は守るべきだし、あんなにぎりぎりで会議を始めても上手くいくはずがない。信頼出来ないっていう気持ちですね。あと、会議中の発言が、会議ルールを無視していて、発言している人の発言が終わりきってないのに、会長は言い訳みたいな、自分の解釈だけを押し付けようとするし。発言していると、こそこそ、隣の席の会員と耳打ちしながら発言するし。こんな会長でも1年の活動はそれなりに出来たんですが、どうにもこうにも、我慢が出来なくて」

「そうですね。会議ルールを無視する。時間には遅れそうになるし。リーダーとして信頼出来ないことが気持ちをふさいでいる大きな要因になっているんですか?」
「ええ、そうですね。リーダーって、文字通り、リードする人だと思うんです。リードする人と信頼関係が結べないのはいやですね」

「そうですね。信頼関係が結べないのはいやですね。ところで鳴海さん、鳴海さんが、残り1回の会議の参加を満足のいくものにするために、あなた自身が努力出来ることはなんですか?」
「私が努力出来ることですか?私が努力しなければいけないんですか?私には原因がないと思うんですが・・何か、私に原因があるんですか?私が間違っているんですか?」

「いえ、そうではありません。鳴海さんは会議ルールを守っているし、当事者意識も高く、積極的に参加している姿勢はとても素敵に思います。しかし、同時に、会長への信頼感が持てないからといって、相手を変えることは出来ませんね。それに、急に会議ルールを学ばせようとしても時間が足らないことでしょう。それでも、あなたに満足していただきたいと、私は心から願います。だからこそ、あなたがあなた自身のために出来る努力を考えていただきたいと思うのです。いかがでしょうか?」

「うん・・・そうですね。何か自分のために出来ることはないかなぁ? 発言をさえぎられそうになっても『ちょっと待ってください。最後まで聞いてもらってもいいですか?あとで、会長のご意見は伺います』とはっきり言ってみようかな?」
「うん、それいいですね。会長のためにもなりますよね。会議の発言ルールを勉強するきっかけになるかもね。もちろん、そういう発言を勇気をもってすることによって、自分のためにもなりますよね」

「私の考え方が間違っているわけじゃないんですよね?」
「ご自分の考えに自信が持てないんですか?」

「ええ、だって、みんな発言ルールも守らずに平気でいるように思えて、それでいいんでしょうか。勉強してないんですかねぇ・・」
「憶測やイメージで私は意見を申し上げることは出来ませんが、鳴海さんがそう感じていることは支持したいと思いますよ」

「何か、結局問題は解決していないけれど、心はスッキリしました。これからもコーチングを受けたいのですが、コーチングを継続して受けるためにはどうしたらいいんですか?私はこれまで、自分の意見は大きな声で言うなと、職場の上司からも、夫からも言われ続けてきました。なぜなら、私の意見は正論過ぎて、相手を追い詰めるだけで、問題をややこしくするだけだって言われてきてたんです。だから、どんなことも飲み込んでいました」
「辛かったですね。でも、誰も皆、自分の意見を言うことを妨げられることはないと思います。コミュニケーション能力の向上のためにも、コーチングを身近に感じる生活をしてみましょう」と鳴海さんを励まし、セッションを終了しました。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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定年間近の部下とのコミュニケーションに悩む課長さん(その2)~部下とのコミュニケーションを拡大し自分に気づく~


水野さんは、コーチとの会話に心が馴染むのを覚えながらも、こんな世間話をするためにこの時間を使うのはもったいない・・と考え始めた矢先のことだったので、改めて、コーチの話の転換のタイミングの良さに驚きを隠せず、ついつい本音で語ってしまいました。

「そうなんです。先生と話しするのは、とても楽しいんですが、私は、そんな世間話をするためにここへ来たのではありません。ちょうど、今、この時間がとても無駄に思え始めていたんです。こんな世間話は、職場では必要がありません。職場は、仕事をする場所であって、楽しみを見つける必要はないんです。私たちが立てた生産計画にのっとって、粛々と仕事をすればいい場所なんです。技術が売り物の会社ですから、技術の伝承は大切な任務。定年退職を迎える職人の技をいかに後輩に伝えるか、それを今後の生産計画に盛り込まなくてはならないのですが、初めてのことなので、どんなふうに計画を立てればいいのか、それが分からなくて悩んでいるんです」。とうとう、水野さんは、本心をコーチに話すことが出来ました。

「水野さん、よく決心して話してくれましたね。
その勇気に感謝します。ありがとうございます」
水野さんは、コーチから感謝の言葉をもらい、照れるように言いました。「いや、そんな。これは私の問題で、私が話すのは当たり前のこと。礼を言われるのは照れますね」

言いながらも、表情がはじめて穏やかになったことをコーチはすかさず指摘しました。
「水野さん、さっきはどうしようと思っていましたけど、今の水野さんは生き生きとしていてとても穏やかな表情になられましたね。つい先ほどまではよろいをきた鉄火面のようでしたね。
ところで、水野さん、水野さんにとって職場は生産性を上げる現場そのもののようですが、部下や後輩、同僚はそう感じているのでしょうか?」とか、「水野さんのその厳しい仕事への姿勢を、みんなはどう感じているのでしょうか?」と、水野さんの仕事をする姿勢について、どんどん質問を投げかけました。
これまで自分は一生懸命仕事をしてきたと自負している水野さんにとっては、意外な質問ばかりです。

同僚や部下には、いつも弱みを見せてはならないと肩肘張って強い自分を見せていることで
管理職としての威厳を保っていた、良く頑張ったものだと、コーチの質問に答えながら水野さんは改めて感じていました。

そんな水野さんの心が伝わったのか、コーチは「管理職としての職務を全うするのに全力投球だったんですね。水野さんの努力には頭が下がります」と、褒めてくれました。

「部長や役員も、仕事は出来て当たり前。ちょっとミスすると、“どうした水野らしくない・・”と声をかけてくれたりフォローしてはくれたりしますが、褒められるってことがぜんぜんなくて。社内の人じゃないけれども、褒められると、なんだか嬉しいですねぇ」と、照れるように微笑む水野さんに、コーチは更に尋ねます。
「上から褒められたことがない。私に褒められてうれしいと言われていますが、水野さんは、部下を褒めたことがありますか?」

「またまた厳しい質問ですね。褒めることはありません。仕事は出来て当たり前ですから。若手は、失敗の連続で褒めようがない。ベテランの職人は褒めても嬉しそうにはするけど、だからといって生産性をあげてくれるわけじゃない。だからいつの間にか、褒めることを忘れていたような気がします」
「褒めるにも技術が必要なんだということを、ご存知ですか?」

「褒める技術ですか?そんな技術って、何だかごまかしの様でいやだなぁ。褒めるんだったら心から褒めたいですね。なにかをねらって褒めるのはいやだな」
「ごまかしですか。そうですね。確かに、人を気持ちよくするだけなら、ごまかしの技術でしょうね。でも、褒めるには褒める理由があるという褒め方や、自分の思ったことを言葉にして伝えるという褒め方だったらどうですか?それもごまかしでしょうか?」

「いや、褒める理由を伝えるというのももちろんですが、自分の思ったことを言葉にして伝えるという褒め方には興味がわきました」
「水野さん、これからの労働環境では、若手の自発的行動や自立を促しながら、職人を育てることが重要だと私は考えています。もしよかったら、コーチングを学んでみませんか?褒める技術についても、もちろん学習していただきます。社内のコーチ養成制度をご存知ですよね?」

「はい。知っています。管理職は誰でも、望むものは手を上げてもいいと聞いています。これまでは、人をどうやって管理するかということよりも、業務をどう管理するかが自分の仕事だと思っていたので、私のような部署の管理者には不要な学習だと思っていました」
「そうですね。サービス業とか、小売業に必要なスキルだと誤解している人は多いですね。でも、職場に一人以上、自分以外に人がいるのであれば、コミュニケーションをとりながら業務を遂行していますね。そうなれば、コミュニケーションを上手に図ることによって、ストレスもなく、業務遂行もスムーズに運んだほうがいいですよね。コミュニケーションをリードすることは、管理職者に求められる能力の一つになってきたんです。ぜひ、部下のやる気を引き出すコーチングの勉強をしてみましょう」と、コーチに強く勧められた水野さん。仕事の終わった夜に会社で行われているコーチ養成講座に参加され、そこで学んだことをすぐに実践しているそうです。

現在は、定年退職まで残り六ヶ月の部下の技術を、職人の卵である若手に伝授する方法を、職人と相談しながら、急ピッチで進めているそうです。
職人肌の部下は、職人にありがちなタイプで無口でありため、自分の気持ちを語ることはありません。しかし、自分の技術には強い自信をもっており、自分を育ててくれた会社のために、何とかこの技術を伝承したいと常々思っていたそうです。しかし、水野さんは、部下を寄せ付けない雰囲気を持っており、水野さんに話をしても取り合ってもらえないんじゃないかと思って、部長に何度か訴えていたそうです。

水野さんは、コミュニケーションを学ぶことによって、部下との会話の質や量を拡大させたことによっ、定年間近な無口は職人先輩社員の気持ちを知ることが出来たそうです。
今では、技術者と管理者二人三脚で技術の伝承をしようという計画は、順調に進められているということです。お互いの誤解から生じているコミュニケーションのもつれが、コーチングによってほぐされていきました。コーチとしては、なにより嬉しい結果です。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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突然の異動でやる気を失いかけてる入社3年目の女子社員~タイプの違う上司とのコミュニケーションを考える~


「おはようございます!」いつも元気なひと声とともにオフィスに飛び込んでくる中井さんは、ホテルの仕事が大好きという活発な社会人3年生、毎日を楽しんでいる女性です。
「今日も元気ですね。あなたの元気な声を聞くと私まで元気になれるわ。いつも、元気を分けてくれてありがとう」私が彼女に感謝して、いすを勧めるのもいつものことのようになりました。
ところが、今日はその元気な一言がありません。「おはようございます」の声が沈んで聞こえます。
何かあったのかなっと思いながら、いすを勧めると
「先日ね、人事異動があったんです。私、お客様に直接に接するフロント業務から外されてしまって・・裏方のオフィス業務になっちゃたんです・・」
悲しい表情を浮かべる彼女にさっそく今感じている気持ちを聞くことにしました。

「そう、オフィス業務に異動になったのね?それで今、どんな気持ち?」
「うん・・・正直、どうして?っていう気持ちを最初に感じたんです。入社当時は無我夢中でやっていたフロント業務でしたけど、三年目の今年になってお客様のお気持ちも何となく分かるようになり、上司の指示にもてきぱきと応えられるようになってきたんです。それで、さあこれから頑張るぞってとこだったんです。だから、どうして異動なの?って感じました。次に沸いてきた気持ちは『怒り』でした。なんで異動なんてさせるの?私がホテルに入ったのは、お客様と直接顔を合わせて、お客様を気持ちよくもてなしたかったからなのに。そのために、厳しい上司の言葉にも何とかついていって一生懸命やっていたのに、そんな私の気持ちが分からないホテルって、どうなのよ?って感じ」

「なるほどね。今は、怒りを感じているのね?」
「うん・・そうでもないの。今朝はね、失望かなぁ・・。内勤の仕事を1週間体験したけど、どうしてもつまらないと思えて・・・。ここにいてもいいのかなぁ?って感じ。お前はもうこのホテルにはいらない。ホテルで働きたいのなら、他のホテルに変われって、会社から言葉にならない命令っていうか、暗示をされたのかな?って思ったり、思い直してここでの仕事はきっと将来自分が前線に戻ったとき、必ず役に立つからと、自分を奮い立たせてみたり。すごく複雑な心境なんです」

「そう、気持ちが沈みかけると、自分で浮き上がらせようと別の考え方をするようにしてるのね?」
「そうですね。このまま沈んじゃったら、やる気がでないというか、たぶん、仕事に行かなくなっちゃうと思うから・・・」

中井さんは、そう言いながらも、このセッションでも、少し無理に自分の心を奮い立たせようとしているようです。

「中井さん、あなたはこの状況をどうしたいと思うの?」
「うん・・まず、何の仕事をすることが自分の役割か、それが知りたいんです。正直わかってないんです。どんな仕事を与えてもらえるかも。1週間じゃわからないし、上司からの指示もないんです」

「職場での自分の役割がわからないのね。どんな仕事を与えてもらえるか?ということだけど、こんどの上司はどんなタイプの人なの?」
「なんだかよく分からない人。何を考えているのか分からない人なんです。答えを言わないというか、具体的な指示を出してくれないんです。『これについては君はどうしたらいいと思う』って解決の方法を聞かれることはあるけど、まだ、その仕事を理解していないのに、解決の方法を考えろといわれても困るし、それよりなにより、結論を出してくれないから、どうしたらいいか、わからないんですよね」

「なるほど、上司が結論を出さない人で、中井さんと解決方法を相談する人なのね?」
「ええ、そうなんです。なんと言ったらいいのか?現場にはいなかったタイプの人ですね。現場の上司は、お客様の気持ちをいかに実現してあげるかとか、どんなふうに答えようか、瞬間、瞬間、答えを出していたわけだから・・・。今までと全く違ったタイプの上司で面食らっているんです。毎日が憂鬱なんです」

「タイプの違う上司になって、どうしていいのか面食らっているわけですね」
「あ~あ、そうか。私は、上司が今までのタイプと違うことで気持ちが沈んでいたんだ!」

「そうですね。上司にも色々なタイプの人はいますよね。新しい職場で仕事のやり方がまだ分からないのに、職場の異動と同時に上司が指示を出すタイプから、考えさせるタイプに変わったものだから混乱しているのですね。そして、それは、中井さんにとってはとても大きな問題だったんですね。それに気づいた今の気持ちはどうですか?」
「コーチにしては珍しく、せっかちな質問ですね!あはは、でも、すっごく霧が晴れてすっきり!っていう感じです。問題は、別にもあると思うけど、そのうちの一つは、解決しました。今日、ここに来るのも面倒だなって思ってたけど、来てよかった」

「今までとタイプの違う上司とどのように接しようと思いますか」
「そうですね。今度の上司は、私にじっくりと考えさせてくれるタイプ、仕事変わったばかりで右も左もよくわからないので、かえって好都合。自分のアイデアをどんどん出して、それが通用するのかどうかを検証してみることにします」

「中井さんが仕事のことを自分で考えてアイデアを出すのはとてもいいことだと思う。そのためにはどうすればいいかなあ?」
「新しい職場に早くなれないといけないと思います。そのためにも、どんどんアイデアを出して実践していこうと思います、それによって、より以上に新しいの職場での仕事にも慣れてくるはずだし・・・」

中井さんは、来たときと変わっていつもと同じくらいの明るさで、戻っていきました。
中井さんは、自分では気づいていません。彼女の心の中を占めていた問題の本質は、異動があったことではなく、仕事が嫌なことでもなかったことです。上司のタイプが変わったことにあったわけです。しかも、その問題の大きさは、自分が考えているほど、自分に大きな影響を与えてはいないのです。なぜなら、帰るときの彼女の笑顔は、いつもと同じように輝いていました。
コーチングを通して、コーチは客観的に冷静に、相手の問題解決の支援をいたします。だからこそ、いつもと何か違うことがないかと、観察眼をするどくして、クライアントと向き合います。
春は人間関係も環境も、新しくなる季節です。自分だけで解決出来ないと考えていることをコーチに話してみませんか? すっきり!春らしい心を取り戻せること、期待してください。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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