コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

「入社三年目 若い人から同僚へのコーチング」~職場での不平不満を解消し、積極性を取り戻す~


「会社休みたいなぁ・・」
同僚の田中君の言葉がきっかけとなり、私はさっそくコーチングをしてみることにしました。
まだ、コーチングの基礎的な傾聴や承認、質問のスキルを習ったばかりなので、自信はありませんでした。
しかし、田中君の元気を取り戻したい一心でチャレンジしてみたのです。
田中君とは、同期入社で同じ営業所に配属になったこともあり、時間さえあえば一緒にランチをしたり、飲み会をしたりする仲でした。入社二年半。とにかくふたりとも突っ走ってきたという感じで、営業成績もいつも競い合うようにしてがんばってきました。
その田中君が、夏以降、だんだん元気がなくなってきたのです。遅刻や欠勤があるわけではありませんが、朝の挨拶や営業所から外回りに行くときや帰ってきたときなど、なんとなく挨拶に生気が無く、気にかけていた矢先「会社休みたいなぁ・・」という言葉で本人の心の中をのぞく事になりました。

「どうした?田中、会社休みたいって、何かあったのか?」
「いやぁ、おまえんとこの課長はおまえにいろいろさせてくれてるだろ? 資料作りだって、ある程度まで任せてもらっているようだし、いざってときには、課長が同行して交渉してくれているだろう?それに比べて、うちの課は、課長が絶対で、新しい資料作ったほうがいいなぁと思って指示されなくても作るだろ? そうすると、そんないらんことはしなくてもいい、お前は俺の言ったとおりの方法で売り上げさえあげてりゃいいんだって、えらい剣幕で叱られてさぁ・・。でも、資料なくて顔だけの営業って、先行き細くなる一方だと思うんだよなぁ・・」

「そうかぁ、田中は課長の言ったとおりの方法で売り上げさえあげていりゃ良いって言われることが嫌なんだね?」
「ああ、そうだね。課長たちの時代と今は違うさ。課長だって、今でこそ顔を出しさえすれば取引先がまぁしょうがないって感じで売り上げつけてくれるけど、最初からそうだったはずじゃないんだ。それなのに、自分の時のことは忘れちゃってて、俺のときは言うとおりにしろだって?それじゃ、俺は力がつかないって。何でも経験することが大事だって、社内報の社長の言葉にだって書いてあっただろう?社長が経験を大切にって言ってるのに、何で課長がそれを止めるのか?ホント!理解に苦しいよ。それで焦っちゃってさ・・・」

「そうだね。僕も読んだよ。社長の年頭所感。俺たち若手には刺激のある言葉だったよなぁ・・。ところで田中君は、どんなことに焦っているんだ?」
「え? そりゃ、このままじゃ、お前をはじめ同期のやつらと比べて経験というものが絶対に不足することや、みんなよりスキルが不足することだろうな?おれは、お前と違って、この会社にずっといるつもりは無いんだ。だから、三年間で結果を出さないと、転職の準備に入れないわけだよ。この三年間はホント重要だったのに、あんな課長の下に付いちゃって・・・。お前の課に配属されなかった俺は、つくづく不運だと思う」

「そうかぁ、田中は配属そのものさえ受け入れられない状態になっているんだね。残念だね。ところで、三年ですぐに転職活動に入るのか?」
「いや、五年間はここにいる。だけど、このままあの課長の下ではなんの経験も実績も残せず、転職には不利になるから、春の異動で動かしてもらうよう人事部にかけあってみようと思うんだ」

「すごいなぁ田中。人事部に思いを伝えるんだ。どんなふうに言おうと思うんだ?」
「え、だから、このままあの課長の下にいても何もさせてもらえないし、経験が不足するし、実績を上げられずに組織に貢献出来ないことがいやだからって、ストレートに言うさ」

「なるほど。課長の下にいても何もさせてもらえない、経験不足や組織貢献出来ないからいやだって言うんだね。人事部はなんて思うかなぁ?」
「そりゃぁもっともだって言うと思うよ。組織貢献出来ないっていうのは、痛いだろうさ」

「なるほど、そうだね。組織貢献出来ないっていうのは、こたえるだろうね。ところで、新しく異動した先では、どんなふうに組織貢献出来ると思う?」
「そりゃぁ、ばりばり仕事して、売り上げ目標、いつも一〇%超えで達成だよ」

「なるほどね、それはどんな方法で達成するの?」
「そりゃ、資料なんかもちゃんと作ったり、電話アポで見込みのあるところにだけ営業に行って効率よく動いたりだよ。つまり、今の課長とはまったく正反対のやり方をするってことさ。課長の鼻を明かしてやりたいよ」

「なるほどね。資料も作って、電話アポちゃんととって、見込みあるところだけと効率よく営業するんだね?」
「ああ、そうだよ。なにもさせなかった課長に思い知らせてやりたいなぁ」

「田中君、一つ聴いても良いかな?会社休みたいことと、異動をお願いすることと、課長の鼻を明かすことと、どんなふうに結びつくんだろう?少し、わけて整理してみようよ」
「ん??そうだな。そう言われてみると、それぞれが違うことのような気もするな。一つひとつ考えてみるよ」

ようやくここで田中君の話すスピードを止めることが出来ました。
会社を休みたいと思うのは、ただ単に自分の思い通りにならずつまらないからで、異動をお願いしたい、課長の鼻を明かしたいというのは、単なる自分の思いを通すための手段であって、何らかの根拠のある事ではないことが、この後の会話で明らかになっていきました。
入社して三年。そろそろ会社の中での自分の立場や役割が理解出来る頃になると、急に不安を覚えたり、会社が何も与えてくれていなかったのではないかと疑心暗鬼になるようです。
しかし、どんなに長く社員として働いたとしても、常に会社は個人に何かを与えてくれるわけではありません。会社にどう自分をアピールし、自分から積極的に組織とかかわろうと努力しなければ、何も変わることはないのです。
自己主張をどうしたらよいのか?そのためにどんな行動を起こし、どんな実績をあげるのか?
すべて自分で組み立てていくことが大切であると気づかなければ、早晩、会社に居場所が無くなっていくことでしょう。
入社して三年。自分の居場所を自分で見つけるためにも、コーチングは役に立つことでしょう。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
講師プロフィールを見る


コメント(0) | トラックバック(0)

進学塾の講師の山口さん 最近やる気が出ない~子供との接し方を取り戻したセッション~


進学塾の講師になって三年半。子供たちを時には叱り、時には褒めて認めて、子供たちがやる気をなくさないように必死で受験指導をしてきました。しかしながら、このごろ、マンネリ感からか毎日の生活に張りを感じず、ただただ、契約があるからやらなければならないという感じで、塾に出勤して子供たちに接しているという山口さん。このままではいけないと思って、コーチングを学習し、自らコーチングと出合ったことにより、自分自身が変わったことを楽しんでいるという同僚の村中さんのコーチングを受けてみることにしました。
村中さんは、いつもと変わらず、ソフトな語り口で山口さんに話かけました。

「山口さん、このごろ塾内で山口さんの笑顔が少なくなっていたことが、とても気になっていたんですよ。何か、悩みでも抱えているんですか?」
「え? 村中さん、気づいてくれていたんですか?やっぱり態度にもでてしまっているのかなあ。私は、正直やる気がなくなっていて、子供たちの変化や無気力サインにすら、このごろは気づいてあげられなくなってしまっているんです」

「何かあったんですか。よろしければ具体的なことを教えてください」
「この間、中間テストの結果が芳しくなかった子供の保護者の方から『中間テストの結果が思うように上がってないのは、山口先生のせいだ!子供がやる気のないことにどうして気づいてくださらなかったんですか?山口先生を信頼していたのに、こんなことが続くようだと先生を替えてもらわなければならなくなります。しっかりしてくださいよ』と、全面的に私の責任だといわんばかりの電話を受けたんです。それ以来、電話に出るのも、子供に接するのも怖くなってしまって・・・。もうどうしたら良いか、ぜんぜんわからなくなってしまったんです」

「そうですか、それは大変だったですね。ところで、山口さんは子供たちの受験について、どんなお考えをもっておられるのでしたか?」と、村中先生は、ご自分も授業準備や小テストの採点でお忙しいのに、しっかり手を止めて、山口さんとゆっくり向き合ってくれています。

山口さんの発言に対し、決して、「自分はこうしている、自分の経験はこうだ!」と押し付け
ることもなく、ときに深くうなずいたり、ときに話の続きを促すようなあいづちをうってくれたりしており、山口さんは、どんどん村中先生に自分の考えや気持ちを伝えることが出来たそうです。
「子供たちには、全員志望校に入ってもらいたいと考えています。そのために出来ることは何でもやるつもりではいるんです。また、そうしてきたつもりなんです」

「ところで山口さん、子供たちに伝えたいけど、言えないで黙っていることありますよね?」
と、唐突に村中さんに言われた山口さんは、言っても良いものか言わないほうが良いのか判断がつかず、黙っていました。村中さんは、しばらく考える時間をくれました。
しばらく沈黙が続いて、そのあと山口さんは、胸の中にしまっていることを話したほうがいいかどうか半信半疑で重い口を開きました。
「たしかに、あることはありますが、それは私と子供たちとのことであって、村中さんにお話して解決出来る問題かどうかよくわかりません」
村中さんは静かに付け加えました。

「山口さん、私を信頼してくださいというのはおこがましいかもしれません。でもね、胸につかえていることを人に話すだけでも、心はずいぶん軽くなるんですよ。でも、それはね、独り言や壁に向かって話してもすっきりはしないんです。なぜだと思いますか? 聴いてもらっているということが大切だからです」
「たしかに、さきほどの保護者からのクレームのことも村中さんにお話しをしたらすっきりしました」

「そうでしょ。子供たちも同じなんですよ。
子供たちの言葉や表情を真剣に受け取ってあげるだけでいいんですよ。真剣な思いが伝わると、子供は『めんどくせぇ・・』とは言わなくなるんですよ」
「それは分かっているんですが、どうしたら子供たちに心を開いてもらえるか、分からなくて・・・」

「子供たちはどうでしょうか。山口さんが心を開いていると感じないかぎり心を開かないんじゃないでしょうか。子供たちは、何か話すとすぐそれを親に言われるのではないかと疑心暗鬼になっているもんなんですよ」
「お互い様ってことですか。相手に心を開いてもらうためには、こちらも心を開くことということですね。頭では分かっているのですが、受験生の子供たちの前に立つと、成績というか数字だけが先に立ってしまうんです。子供たちの気持ちなど二の次にしてついハッパをかけてしまうんです。一体、どうしたらいいんでしょうか」

「そうですか。ちょっと提案してもいいですか?これから話すことをやってみるかどうかは山口さんが決めればいいことなので、ちょっと聴いて下さい」
「はい。私の参考になると思われることでしたら、何なりとお話しください」

「一度、時間を決めて、子供一人ひとりと話す時間を作って将来の夢を聴いてみたらいかがですか?五分でいいんです。やってみませんか?」と、村中さんに提案された山口さんは、「将来の夢ですか。そんなことを聴いたこともなかったです。目先の受験さえうまく行けばその先はあとで考えろなどと言ってましたから。そうですね。やってみます」と答えました。どうやら、子供たちとの接し方を見つけたようです。

受験コーチングは、難しいといいます。相手が子供であるために、目先のしたいことが先にたって計画的にものを考える習慣がついていません。将来の夢を語らせて、「それに向かっていくにはどうしたらいいと思う」と子供たちにぶつけてみることで、子供たちが前向きに受験勉強を考えるようになります。
親にすぐ連絡してしまうのではないかと不安になっており、なかなか本音を言ってもらえないこともあります。子供たちとの間に信頼関係が築けるかどうかです。真剣に対峙し誠意をもって対応することが大切になります。
山口さんが村中さんの話を素直に聴けたのも、村中さんの話しぶりなどから村中さんとの間で信頼関係が保てたからです。
どうしたらいいか困ったときには、仲間に相談して協力をあおぐ必要もあることを、村中さんはそっと教えてくれたようです。山口さんは、コーチングというもののすばらしさが少し分かったようでした。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
講師プロフィールを見る


コメント(0) | トラックバック(0)

中古車販売会社 社長の悩み~コーチングの理解を深める~


中古車販売の会社を始めて十三年。
会社はまずまず順調に進み、最初の十年間はあっという間に過ぎて行ったような気がしていたという経営者の鈴木さん。でもこのごろ何かが違うと感じ、モヤモヤしていたところ、コーチングって何かを体験する講座があると社員から参加を促されて、よくわからなかったけど何かのヒントになればと思って出席しました。

午前中のセミナーでは、「コーチングとは何か?」「コーチングはどんなときに機能するのか」「どんな成果を期待することが出来るか」など、コーチの体験談をまじえて説明され、ときおり講師が投げかけ質問をするなどして、非常に分かりやすく、コーチングに始めて接した鈴木さんにも理解しやすいものでした。コーチングというものが、どんなものかは理解したが、実践するのはどうすればいいのだろうかなどと考えながら昼食を食べました。昼食も終わり、午後からは実践練習のロールプレイングを行うことになり、講師からの「今、何かやりたいけれども、モヤモヤしていて行動に移すことが出来ない」「これまでの行動を変化させたいと思うけれども、どうしたらよいか、わからない人を募集します。ご協力いただける人はありますか?」という誘いがありました。受講生は三十名ほどいましたが、いずれも皆、講師と眼が会わないように下を向いてじっとしていました。鈴木さんも、実は最初は眼を合わせないようにしようと下をむいていましたが、「でも、せっかく参加したんだし。手ごたえを実感してみられるなら、他の人より参加した甲斐があるかもしれない」と思い直し、勇気を出して手を上げてみました。

講師は「鈴木さん、あなたの勇気に感謝します。そして、せっかく手を上げていただいたのですから、あなたが感じたいと思う達成感を得ていただけるよう、コーチングをやっていきましょう。皆さんにもご協力いただきましょう」と言われ、受講生の拍手に励まされて、登壇しました。講師にも、他の受講生にも暖かく迎え入れてもらったような気がして、心なしかわくわくした気分です。「さぁ、鈴木さん、鈴木さんの今のモヤモヤはどんなものか、1分ほどで話していただけますか?」と、講師に促され、内心1分も話せるかなぁ・・と心細く思いながらも、胸の内にあったことを話してみました。「実は、私は会社を経営しています。売上や利益などは自分が思った以上の成績が上がり、最初の十年間は、ほんとうに毎日が楽しくて楽しくて、時間の経つのもわすれて深夜まで働いていました。一生懸命働くことが苦にならなかったんです。ところが、このところ、もう三年近くなりますが、ワクワクした気持ちや、一生懸命やらなくちゃとは思うんだけれども、達成感が感じられなくて仕事に身が入っていないような気がしているんです。何か大きな不満があるわけではありません。社員も良く働いてくれるし、仕事は全部、彼らに任せても良いと思っているほどです。でも、どういったら良いのか?以前は私が商談にいたったり、新規の取引をまとめたり出来ていたのに、このごろでは、息子がインターネットのオークションとかいう方法で、中古車を仕入れたりして、どうも手ごたえというか、仕事をしているという実感がないのです。このままでは、自分の居場所が会社になくなってしまうような気がして、なんとなく、元気が出ないんです」という率直な思いを、皆さんに話しました。

講師は、「鈴木さん、ほとんど1分にまとめてくださってありがとうございます。お話しすることに慣れているのでしょうか?話すスピードコントロールがお上手ですね。私は話し始めるとあれも言わなければ・・、これも言わなければ・・と思い出して、ついつい予定の時間を超過してしまうことがあるんです。きっちりと時間通りお話になった鈴木さんを見習いたいと思います」と、皆さんの前で褒めてくださったのです。

鈴木さんは、居心地が悪いようで、さりとて、消え入りたいような気持ちにはならず、少しだけ誇らしい気持ちで、次の展開を待ち受けるほどのゆとりを感じたそうです。

それでは、「鈴木さんが自分で考え、鈴木さんの気持ちがすっきりさせるという目標のもと、皆さんで鈴木さんに一つずつの質問をしましょう」受講生全員が次々に鈴木さんに問いかけてくださいました。

「どういう会社にしようとして、今の会社をおつくりになったのですか」
「自分の好きな中古車をどこよりも安く、皆さんに提供したいと思って始めました」

「十年後にはどうしていたいですか」
「十年後には息子に仕事をゆずって好きなことをのんびりとしていたい」

「鈴木さんの好きなことって何ですか」
「・・・・絵を見たり、写真を撮ったり、旅行をしたりってとこかな」

「思い切って1ケ月休暇をとって海外旅行にいくとどうなりますか」
「私がいなかったら会社が持ちませんよ。一ヶ月なんてムリですよ・と言いたいところですが、さびしいですが私がいなければいなくてもなんとかなっちゃうんでしょうね」

「中古車が好きですか」
「はい。大好きです」

「いまどんな車にのっていますか」
「ベンツです」

「そのベンツは中古車ですか」
「いえ、新車です」

「どうして、お好きな中古車のらないのですか」
「・・・・・・・・・」

「社長としてベンツに乗りたいですか」
「自分がここまで頑張ってきた証として、ベンツに乗りたいんです」

「今の社員より私のほうが十倍売り上げてみせる。今の社員を辞めさせて私を採用しなさいと言ったらどうしますか」
「今の社員を大事にしたいと思います。でも、ほんとうに十倍売り上げてくれるとしたら、なんとか両方採用する方法はないか考えたい」

三十名ほどいる受講生は、あらゆる角度からの質問を作ってくれたので、答えられないほど意外なものがあり、ドキドキしながら黙ってしまった時間もありましたが、普段、自分ひとりでは考えきれないほどの質問が上がってくるので、とにかく誠実に答えようと考えているうちに、どんどんもやが晴れていくように心がすっきりし始めました。一人だけで物事を考えていると、いつも同じ自問自答を繰り返すだけなのですが、大勢の人のいろいろな意見を聞いたり、質問を考えたりすることは、人の思考を変えるのにとても役に立つということや、大人になっても人に褒められるということは大切なんだなぁ・・と、つくづく感じさせられるよい体験をしました。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
講師プロフィールを見る


コメント(0) | トラックバック(0)

シティホテルのベテラン課長の部下とのコーチングでの悩み~コーチとのセッションによってコーチングを通した部下育成のあり方に気づく~


仕事は、レストラン部門のうち創作イタリアンを担当しているマネージャー歴十七年目を迎えたベテラン課長の事例です。部下は正社員、派遣社員を交えて三十二名の大所帯です。
いつも不調に終わる今年入社したばかりの部下とのコーチング。不調の理由は、部下が質問にまともに答えてくれないからと考えています。何を聴いても「課長はどう思われるんですか?」「課長と同じように仕事は出来ません」と、はねつけられてばかり。人間関係も上手くいかなくなり、朝の挨拶もしてくれなくなりました。
それでも、杉田さんは自分の立場として、彼を一日も早く戦力にしないといけないと考え、機会あるごとにコーチングを行っていました。
しかしながら、最近ではあまりに進展しないコーチングのセッションを終えるたびに空しさを感じるばかりストレスもたまってやりきれなくなってしまったので、自分のコーチにテーマとして扱って欲しいと訴えました。
「いつもどんなことをテーマにコーチングしているんですか?」と、コーチはさっそく現状を明らかにしたり、杉田さんが目標としていることが何であるかに絞って質問をしたりしながら進めました。

「テーマですか、そうですね、例えばお客様満足をどう高めたらよいと思いますか? とか、お客様の視点とはどんな視点を持つことだと思う? などです」。
「そういう質問をしたのは、どういうお気持ちからですか?」とコーチは質問を続けました。

「お客様のことを自分で考えてみることが大切だと思って質問をしているのです」
「それは〝今のあなた〟がお客様を大切だと感じられているので、そういう質問をしたのですね?」

「そうです。その通りです。お客様のことを考えるのが重要だと思っているのです」
「そうですよね。お客様のことを考えるのは大切なことですよね」

「そうなんです。それなのに新入社員の部下は、私の気持ちを少しも分かろうとしないのです」
「そうですか。それは困りましたね。ところで、新入社員のころ、あなたはそういう考えを持とうと努力していましたか?」

「新入社員の頃、お客様のことを考える余裕がありましたか?」
「新入社員のころあなたが受けた指導で、今も心に残っているものは何ですか?」と、すっかり忘れていた新入社員のころの気持ちを思い出す質問を、次々に与えてくれました。

杉田さんは、コーチングを学習するとき、過去を振り返る質問よりも、今より先の未来を考える質問のほうが機能するから、過去を振り返る質問はしないほうが良いと教わり、そのことを頑なに守り続けておりましたので、コーチの質問の目的がわからず、答えがすぐには出てきませんでした。

「コーチ、私はこの先どうやっていこうかと悩んでコーチに相談しているんです。私の過去のことよりも、もっと前向きな未来に向いた質問をしていただけないでしょうか」杉田さんはコーチの質問に対し、疑問をぶつけました。

するとコーチは、そんな杉田さんの気持ちが伝わったのか「あなたは、なぜコーチの私があなたに対して過去のことを質問しているのか腑に落ちないのですね。何を目的としてコーチの私があなたにこの質問をしたかを、明らかにしても良いでしょうか?」と切り出されました。

杉田さんは、ぜひ伺いたいと考え「お願いします」と答えました。

「杉田さんは、自分の意見や感情を表さない部下に、とても大きな苛立ちを感じているようですが、杉田さんが新入社員だったころを思い出すことによって、そのときにふさわしい学習方法や目標設定があることを思い出したほうが良いのではないかと思ったのです。ベテランの杉田さんと新入社員の部下では立場も経験も違うわけで、今の杉田さんの気持ちを押し付けるのは良くないと思ったのです。過去に疑問に思ったことも解決して通り過ぎてしまうと、それが当たり前のように今は思えるわけですが、杉田さんの若い頃感じられていた気持ちと同じような気持ちを新人の方はもっているわけです。
コーチングは、馬車に乗りたいと思った人を乗せて、その人がいきたいと思うところに運んであげることが大切であるということでしたね?
でも、今、杉田さんは馬車に無理やり乗せて杉田さんの思う方向に無理やり進めているのではないか?それにご自身が気づいておられるかどうかを伺いたかったのです」ということを話してくださいました。そうです、そうだったんです。杉田さんは、ついつい、自分のペースで、自分の行きたい方向へ無理やり馬車を進めていたのです。
だからこそ、部下に『課長と同じような仕事は出来ない』と、反発されてしまったのでしょう。
そのことにコーチの話を聞いて気づいたようでした。何ゆえに、そんなに気持ちにゆとりがないのか?
コーチは、杉田さんの急ぐ気持ちを整理するセッションを行いました。
杉田さんは、知らず知らずのうちに、新入社員に一人前の人手を求めてしまっていて、彼の不安な気持ちに気づかず、これから自分がどんなふうにキャリア形成したらよいのか考える機会を奪ってしまっていたようです。
日常業務に追われている、新人の教育はめんどうばかりが多くて仕事が増えたという想いだけが先走っていて、自分の本来の仕事に専念するために1日でも早く一人前の戦力としたいと思って、新入社員の部下のためではなく、杉田さん本人のために部下にコーチングしていたことに気づいた杉田さんは、あせらないで一歩一歩やっていこうと思いました。
新入社員の部下から朝の挨拶をするのが、ビジネスマナー、そんなことも体験で覚えさせないといけないと思って、自分からは挨拶をしていませんでしたが、翌日早速、今までにない穏やかな笑顔で「おはよう」と言いました。そうすると、今まで横を向いてろくに挨拶をしてくれなかった新入社員の部下が、杉田さんのほうを向いてにこやかに「おはようございます」と挨拶を返してくれたそうです。

「今日、1日をこのホテルで君はどんなことをしていきたいと思いますか」笑顔で話す杉田さんに、新入社員の部下は「今日は、1日、杉田さんのアシスタントで、お客様のもてなし方を学びたいと思います。私も早く一人前になりたいので、よろしくお願いいたします」

杉田さんはちょっとしたきっかけにて、新入社員の部下と一体となって働けることに気づきました。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
講師プロフィールを見る


コメント(0) | トラックバック(0)

昇格して先がわからなくなった店長の悩み~コーチングを通して気持ちを整理し、目標達成をイメージする~


今から十年後には、あなたはどんな人として、社会で活躍していますか?
と問われたセミナーの帰り道、改めて近藤さんは自分のことを考えてみたそうです。
近藤さんは、大学生活を終えて以来、スポーツ用品店の販売員としてキャリアを積み上げていました。途中一度、更に大きなショップの店長を目指して同じ業界の別のグループ会社に転職を成功させ、着実に夢を実現してきました。
新しいショップでは、副店長として採用され、会社が必要とする以上の実績を上げることによって、販売実績もマネジメント能力も、ある一定の評価は得ていました。
いよいよ店長として昇格が決まり、全国販売コンクール優勝の売り上げ実績をつくり、社員教育プランも自ら率先して計画し実行する、自立型人材として働いていました。しかし店長となったとたんに、何かが違うような気がして、急にやる気にならなくなってしまったそうです。
近藤さんは、人材育成にコーチングを早くから取り入れており、自らもコーチングを受けていたので、セッション(会話)のテーマに取り上げて、このもやもやした状態から早く脱しようと思いました。

「近藤さん、あなたの人生という山の頂上から今を見つめてみると、何合目辺りにいると感じていますか?」
という質問に、近藤さんは「まだ、三合目当たりだと思います。いずれは売れるショップ作りを目指す経営者の支援が出来るコンサルタントになることが、頂上の制覇ですから・・」と、答えた近藤さんに対し、コーチは静かに言われたそうです。

「近藤さん、一つの目標の達成は、通過点でしかないんですよ。頂上から見下ろして考えてみましょう。そうすると、二合目への山登りもたしかにきつかったと思います。しかし、それは三合目へのスタートでもあると思いますがいかがですか?」
「近藤さんは、三合目を制覇されたのですが、頂上制覇という大きな目標をお持ちなわけで、それを今あきらめようとは思われていないですよね。四合目、五合目と着実に頂上制覇に向かっていかれることと思います」

「それでは、四合目を制覇したときはどんな気持ちでその日を迎えるのでしょうか?」
「そのとき、近藤さんが手にしているものは何ですか?」

「その次は五合目、六合目・・・そしていよいよ頂上制覇ですね」
「誰と一緒に頂上に立っていますか?」

「頂上制覇したときの気持ちはどんな気持ちでしょうか?」
など、次々にコーチとのセッションが進んでいきました。
「コーチ、明日からの新しいスタートを切るために、明日の朝礼では新しい目標をみんなに宣言しようと思います!」

三十分後、近藤さんはコーチに思い切り大きな声でコミットメントされたそうです。
未来日記を完成させたスッキリ感と、必ず達成出来るという自信にあふれ近藤さんは足取り軽く、帰ったそうです。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
講師プロフィールを見る


コメント(0) | トラックバック(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25

カレンダー

<< 2017年 7月 >>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031

カテゴリ別アーカイブ

月別アーカイブ