コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

経営コンサルタントとして独立して悩んでいる綿谷さん~異業種交流会で出会ったコーチとのセッションをきっかけに相手に配慮する重要性に気づく~


会社勤めで経営コンサルタントの仕事をしていた綿谷さんは、自分の事務所をもち独立するのが十年来の夢でした。そのためにこれまで仕事をしていたといっても過言ではありません。綿谷さんへご指名のお話も多く来るようになり、これなら独立しても十分にやっていけると考えて今年三月三十一日に会社を退職し、念願の経営コンサルタントとして独立をしました。

オフィスは自宅の書斎と決め、必要な事務機器等も搬入され、逸る気持ちを抑えながらスタートを切りました。

まずは今までお付き合いのあった企業に独立したことの挨拶と、今後は自分に直接お話をいただけるようにとお願いすることから始めました。ところが、これまで付き合いのあった企業さんは、「わが社は綿谷さんの個人としてのコンサルタントとしての働きよりは、むしろ会社としての全体の働きを評価していたわけです。私どもとしては今後も従前の会社とは顧問契約を続けていく所存です。綿谷さん個人には、これまでお世話になったことでもあり、何かあったときにこちらから声をおかけすることでいかがでしょうか」と体よくあしらわれてしまいました。「何かあったときにこちらから・・・」というのは、「何もないと思えば声をかけない」ということです。

これまで付き合いのあったところは、自分のコンサルタントとしての力を評価してくれていると思っていた綿谷さんは、それが間違いで相手は自分の背中の看板、○○社のコンサルタントということを評価していただけだということに、初めて気づきました。

このままではいけないと考えた綿谷さんは、いろいろなつてを頼りにして、これまで付き合いの全くなかった会社さんへの営業を開始しました。飛び込み営業も行ったわけです。しかしながら独立して四ヶ月。営業をかけても相手にしてくれる企業はほとんどなく、話すらまともに聴いてもらえなかったり、話は聴いてもらえるものの、相手にとって必要な情報を引き出されると、後は、邪魔だといわんばかりに追い返されたりする毎日でした。

独立前の会社では、専門の営業がいて、コンサルテーションが必要なクライアントは、彼らが専門に獲得してくれていたので、名刺交換のときからすでに、「先生」と呼ばれ、厚くもてなされていただけに、このギャップを冷静に受け止めることが出来ませんでした。

これではまずい、何とかしなければと思い、ある夜、異業種交流会に出席してみました。なかなか名刺を出す勇気がなくどうしたらよいものかと考えあぐねていたところ、笑顔の綺麗な女性が、声を掛けてくれました。

「はじめまして。私、橋本幸子と申します。職業は、ビジネスコーチをしています。ご参加ははじめてでいらっしゃるんですか?」

「は、私は、経営コンサルタントをはじめたばかりの綿谷利男と申します。初めての参加です」と挨拶をし、もう何度も踏みにじられている名刺を躊躇しながら出しました。橋本さんはとても活発な人で、大勢の人から声を掛けられる顔の広い人で、多くの人と朗らかに話しているのを見て、うらやましく思いながらも、この会で自分がどうしたらよいのかがわからず、ずっと橋本さんを頼りに、行動することにしました。積極的な橋本さんの真似をしてみることにしたわけです。合間を見て橋本さんは、「ごめんなさいね。お声を掛けてくださる方が多くて。何だか落ち着きませんね。ところで、今日初めてお目にかかった方に失礼だと思うんですが、何か、悩んでいらっしゃることがあるようですが、いかがですか?」
と話しかけてくれました。

綿谷さんは、(初対面の人にどうしてそんなことがわかるのか。コーチをしているといっていたから職業がら誰にでもそういって話しかけているのではないのか。占い師が道行く人に声をかけるように、私に話しかけたのではないのかな。ちょっと追及してみてやろう)少し意地悪な気持ちになり、「どうして、悩んでいると感じられたんですか?」と質問してみました。橋本さんは、あっさり、「ため息の回数と深さです。この会場に入ってからずっとため息をおつきでしたよ。ご自身の行動に気づいていらっしゃいましたか?」と、にっこり笑っておっしゃいました。

綿谷さんは、この会場に入ってから、ずっと一人ぼっちで居るようなさびしさや疎外感を感じていたのですが、橋本さんはずっと見ていてくれたようです。

「この人になら、胸のうちを明かしても笑われることはない」。直感で判断した綿谷さんは、率直に胸のうちを明かしました。

「今年の春に独立したんですが、思ったようにいかなくて・・・」

ずっと静かにうなづいて聴いていてくれた橋本さんは、綿谷さんの話に、「そう、大変な思いをしたんですね」とか、「悔しかったんでしょうねぇ」と、綿谷さんが避けて表現しない心の中を、実に見事に言葉にして表現しながら、どんどん、話を聴いてくれました。

綿谷さんは、橋本さんの対応につられて自分の気持ちを話し続けていました。

十分ほどの長話になってしまったことに気づいた綿谷さんは、「橋本さん、ごめんなさい、あなただってここには何かを探しにいらっしゃってたんでしょ?僕が邪魔をしていますよね?」と、率直に橋本さんにお詫びしました。

すると橋本さんは静かに言いました。「綿谷さん、今のその心遣いを、企業周りの飛び込み営業でもしていましたか?兎に角、自分のことを売り込もうとして、自分のことばかり話して相手の都合など気にしていなかったというようなことはないですか?」。綿谷さんは、心臓をナイフでえぐられたような衝撃を感じたように、体をまっすぐにし、頬を紅潮させながら橋本さんに答えました。

「僕は一生懸命、自分のために契約してくれることばかりを探していました。そうですよね。誰だって邪魔されたくない話の途中や、仕事の途中で、人の話には付き合いませんよね。なぜそんなことに気づかなかったんだろう」

「そうなんです。話というのは相手のためにすることであって、自分のためにするもんじゃないんです。心底、相手のためを思って真剣に話していると相手の琴線に触れることになるわけです」

「どうもありがとうござます。橋本さんと出会えただけでもこの会に参加した意義がありました」

綿谷さんはこの夜をきっかけに、今は橋本さんのコーチングを受けながら、個人事業主を楽しんでいるそうです。

そして、この半年の間に、顧問先は三社になり、目標まであと二社を目指して日々、営業に励んでいるそうです。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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営業に異動して悩んでいる清水さん~不平不満を提案に変える~


清水さんが営業チームのリーダーに任命されたのは、九月1日のことでした。
これまでは、技術開発員としてキャリアを積んでおり、会社からの異動辞令には「どうして?」という気持ち以外には感じることがなかったそうです。確かに、これまでも営業に同行して、お客様へのプレゼンテーションなどの際には、補足説明をし発注につなげるなど、売り上げ拡大に貢献していた実績はあります。しかし、どちらかというと口も重いほうだし、人と話すのは苦手でそれだから人と話をしなくてもいい技術開発を仕事として選んだというような意識もあり、自分に営業など勤まるのだろうかととても悩んでいました。

そんな時、営業部長の都築さんに食事に誘われ、仕事のことでハッパをかけられるのはイヤダなと重い心を引きずりながらも、同行することにしました。

しかし、都築営業部長は、もともと人事部で長く社員教育に携わっていた人で、自分と同じように、営業との関連が薄い中での異動を受けた人ですが、営業にうつってからは、かつてないほどの高い成績をあげている社内で有名な人です。他部署から異動してきて、全く新しい仕事をきちんとこなされている都築さんから、何かしら自分のこれからのヒントでももらえれば無駄な時間になることはないな、そう思うことによって、なぜか清水さんにとって都築部長のお誘いはいやいや同行するということでもなくなりました。

「まあまあ、お疲れさん、慣れない仕事で気が張っておられると思って、今日はねぎらいたくてお誘いしたんですよ」。

開口一番、都築部長から清水さんの心の中をかいま見たかのような挨拶を受けた清水さんは、少しびっくりしたということでした。

「部長も、営業はあまりご経験なくして部長を拝受されたとのことですが、お困りのことはなかったんでしょうか?私は、未だに『なぜ私が営業チームのリーダなんだろう?』と思っているだけで、会社に対しては、不信さえ感じています。私は技術開発員としては失格だったんでしょうか」
「清水さんは、この人事に何を感じておられるのですか?会社への不信だけですか?」

「いやぁ、そうではありません。ただ、会社からの期待を感じれば感じるほど、自分の能力に不足を感じるんです。そうなると、この人事を恨む気持ちも強まってくるんですよ」
「なるほど、ご自分の能力と会社の期待の高さが比例していないと感じているわけですね?」

「ええ、そうです」
「では、清水さんは、会社から何を期待されていると感じているんですか?」

「そりゃ、もちろん、営業成績をあげること、売上と利益の向上でしょう。都築部長だって、それを望んでいらっしゃるからこそ、こうして私を食事に誘ってくれているんじゃないんですか?異動して二ヶ月もたつのに、どうして清水は自分から積極的に動かないんだろうと、ほんとうは思っていらっしゃるんじゃないですか?」
「自分の気持ちを何とか前向きにしていこうと思うだけで精一杯で、営業チームのリーダーとして部下と接する余裕など全くありませんよ」

「部下と一緒にお客様まわりをしていても、お客様と部下との会話を横で黙って聞いているだけで、こんなことでいいんでしょうか」
「力不足をどうやって解消していけばいいのかわからないんですよ」

「やりながら覚えるといっても、営業で失敗して大きな穴を開けるようでは、大変ですし・・・」
「そもそも、私は口下手ですし、人に説明するのは向いていないんですよ。ほんとうに誰が見てもミスキャストですよ。今回の人事は・・・。会社は私に営業で何をしろと言うんでしょうか。もっと適任がいるはずですよ。部下だってそう思っているみたいだし・・・」

清水さんの不平・不満は、どんどんエスカレートしていきます。都築部長の質問に答えれば答えるほど、自分が不平・不満を感じていることに気づいてきました。しかし、それと同時に都築部長は一切、その不平や不満を口にする清水さんの発言をやめさせようとはせず、むしろ、どんどん吐き出させるように、清水さんの発言の全てを認めるようなあいづちをうってくれていました。
三十分もじっくり話を聞いていただいたころでしょうか?都築部長は、穏やかに清水さんに質問をしました。

「どんな人でも最初から営業のプロって人はいませんよね」
「会社は清水さんのことを適任だと考えて起用したわけです。もちろん、最初から全部出来るとは思っていません。次第にプロになられるだろうと思っているわけです。一方、清水さんはミスキャストだとおっしゃる。それでは清水さん、清水さんの今の不満を、提案として訴えるとすると、会社にどんなことが言えると思いますか?」

「会社に提案ですか・・・」
清水さんは、とっさに答えることが出来ませんでした。(「私は一体どうしたいんだろうか。不平・不満を言っているだけでは、解決にはならないし・・・会社への提案は特にありません というのも違うような気がするし・・・どうすればいいんだ」)

都築部長は続けて静かにおっしゃいました。
「人はミスを犯したくないものです。それゆえ慣れた仕事をしたがるものです。慣れた仕事から、新しい慣れない仕事に異動させられてしまうと、それが不平・不満につながるわけです。不平・不満は、誰でも持っています。それは自分にとっての『問題』ということです。『問題』を『問題』のままで終わらさないで、自分のこれからの『課題』として、取り組むことが大事だと思います。不平・不満を持つこと、それはさらに自分を成長させるチャンスなのです。

不平・不満のまったくない部下などは、私は信頼しません。不平・不満は、向上心の現れです。
私は、部下の不平・不満を、提案に変えるスキルを持つことも、上司の役割だと思って、コーチングを勉強しています。もしも清水さんが自分の営業能力の不足を不安に感じていて、それが会社に対する不平・不満になっているのだとすれば、自分に必要な学習をして能力開発することを提案しますが、よろしいですか?

私はそうやってきました。このやり方をやられるかどうかは清水さんが決めることです」と、都築部長は力を込めてお話くださいました。
清水さんは都築部長の話を真剣に聴くことによって何かを感じたそうです。
清水さんは自身の不平・不満と真っ向から向き合い、同時に部下の不平不満にも付き合う覚悟で、次の日に出社しました。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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仕事を任せた婿への対応に悩む経営者~業績向上につなぐ人材育成を考える~

「人生は長い長い「ウサギとカメの競争」。怠け心(ウサギ)と頑張る心(カメ)のバランスがなかなか上手く取れない。お客様へのアプローチが下手な社員を抱える経営者とのセッションです。

「お客様対応が下手な田所さん、その後いかがですか?」
「いやぁ・・・相変わらずなんですよね・・・。『これください』とおっしゃられたものだけしかお勧めしない。迷っているお客様との応対なんて、お客様が迷われている時間だけかかってしまって、完全に相手のペースでねぇ。お客さんが減ったとはいえ、うちは老舗の店ですよ、次のお客様がお待ちになっていらっしゃるわけだし。もう少してきぱきとお客様をさばいてもらいたいんです。『これがお勧めです』といって押し切ってもいいと思うんですよね」

「社長のお気持ちは、田所さんには伝えていらっしゃるんですよね?」
「いやぁ、私が直接言うと、若いモンには重荷だろうから、専務から伝えさせていますよ」

「なるほど、ご自分でおっしゃると、若い人に重荷になるから、専務さんに伝えてもらっているわけですね?専務はどんなふうに伝えているか、また、いつ伝えているか、確認していらっしゃいますか?」
「いやぁ・・・専務は入り婿ですからねぇ。私にも何かと遠慮があって、任せたことは一切口出ししないようにしているんだ」

「そうでしたね。では、なぜ、娘さんにお話して、教育をしてもらわないんですか?」
「いやぁ、娘では社員は動かないだろうからネェ。それに、あまり娘の力を当てにしたくないんだよ。まだ、子供たちにも手がかかるから、あれもこれもさせるわけにはいかないんだよ」

「お嬢さんへの配慮ですね。お嬢さんには手を貸していただこうと思わないのであれば、やはり、専務さんとの連携をもっと深める必要がありますね」
「専務の仕事ぶりがなかなか、自分の思うように進んでいなくて、イライラするんですねぇ」

「専務さんのお仕事が自分の思うものと違うことと、お客様対応が上手くならない田所さんの問題は、社長の中では、同列なんですか?」
「うん?いやぁ、そうじゃないんだが・・・」

「少し切り離して考えましょう。田所さんのように接客が上手く出来ない社員には、お手本を見せて感じさせることも重要ではないかと思うんですが、誰か先輩社員でお手本になれる人をあげていただけますか?」
「はぁ、そりゃあ、やっぱり私でしょう。この道五十三年。私もまだ、店には立ちますからネェ」

「なるほどね。社長自らをお手本として真似してみようと、提案なさったらいかがですか?」
「そりゃぁ、いいと思うが・・・」

「何か問題がありますか?」
「教育は専務に任せたといった以上、それもおかしいのではないか?それに、私が店頭に立つといっても、そうそう毎日じゃないわけだし。そんな悠長なこと言っていたら、人は育たんのではないのかな?」

「なるほどね。専務さんへの配慮が一つ。育てる時間が悠長になるのが一つ。二つの問題があるわけですね。この二つは、連携した問題であるように思うから、どちらか一方を選ばない、また両方とも選ばないこととして、何か別に手立てを考えてみましょう。いかがですか?」
「そうですね・・・」

「社長以外にお手本になりそうな社員はいますか?社長が信頼出来る社員がいいですね」
「うん・・・ベテランの課長が一人いるが、指導なんて出来るかなぁ・・」

「どんな指導をさせたいんですか?」
「そうだなぁ・・販売をさせている姿がゆっくり見られるように、彼女のアシスタントのようにぴったりひっつけようかな?」

「二人一組のようにペアを組ませるということですか?」
「そうだな。人件費の無駄遣いだと、専務には叱られるだろうけど、早く一人前になってもらえれば、取り戻せるだろうからなぁ・・・」

「ベテランの課長さんには、どんなことをあらかじめ伝えておく必要があると思いますか?」
「田所の販売が上手くないので、教えてやって欲しいということかな?」

「田所さんの販売が上手くないと、ベテランの課長さんは感じているんでしょうか?」
「いや、わからんが・・」

「もし、課長さんも同じように上手くないと感じていたのなら、自分が積極的に指導をしていたのではないでしょうか?」
「いや、うちはそういう人のことを率先して面倒みようなんていう社風じゃないから・・・」

「なるほどね。社長、それならなおさら、田所さんの何が問題なのか、明確にしたほうがよろしいのではないでしょうか?」
「そうだなぁ、お客様の言うとおりじゃなくて、店の自慢の品を勧めるとか、お客様の気持ちを慮れる店員になって欲しいということかな・・・」

「お客様の気持ちを慮るとはどういうことですか?」
「お客様の気持ちになって考えるということだろう。そんな細かなことまで言わなきゃわからないのかな?今の若いモノは・・。情けないネェ」

「店の自慢の品を勧めて、それがお客様の気持ちを慮れることになっていること、そんな店員さんになってもらいたいわけですね」
「そのとおり。それが出来て初めて販売のプロと言えると思う。そんなの当たり前だろう。私もこの道五十三年常にそうあるべきだと思ってやってきたんだ」

「社長の中にある販売のプロとしてのあり方、販売の理想像は、社長が頭の中で思われているだけでは社長だけのものですね。みんなのものとするためには、出来る限り具体的に、わかりやすく伝えないと、理解してもらえないのではないですか?」
「そうかなぁ・・言わなくてもわかると思うけど・・・・、あなたが言うなら、言ったほうが
いいのかなぁ」

「社長のお気持ちはいかがですか?おっしゃったほうがいいと思いますか?」
「よく分からんが、まぁ、一度やってみよう。それで、どう言ったらいいのかな?」

「田所さんにどんな販売員になってもらいたいか、出来る限り具体的に伝えてはいかがでしょうか?接客時間は、十五分くらいまでにしたいとか、迷っているお客様には、こんなふうにお品をお勧めしてもらいたいとか。まずは、社長のイメージする販売が出来るようにして、それから、田所さんの長所を生かした接客を確立させるという二段構えにしてはいかがですか?」

「そうだねぇ・・・それならいいなぁ」
「長年している仕事は、何でも上手くいっていますか?」

「うん?・・まぁ、そういうわけではないが・・・」
「うまくいかないことは、指導する。うまくいったことは褒めることが大事ですね」

「そうだな、褒めてやればやる気も出るな」
「そうでしょ。照れくさいかもしれませんが、やってみられますか?」

解決出来ない問題は、複雑にいくつか重なり合って起きるときがあります。当事者はそれに気づかず解決出来ないと悩みを抱えますす。コーチは、それに切り込むことも大切です。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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奥さん依存症の自転車屋さん~事業を続ける意志の揺らぎを他責にする経営者のモチベーションを上げる~

今後、私はどうしたらよいのでしょうか?
相談くださったのは、自営業歴五年の岩山さん。経営する自転車屋さんは、中学校が近くにあることから中学生御用達の店として、順調ですが、このままでは先行きが不安とのことでした。

「いやぁ、実はうちの店の前で自転車に乗った女の子が鉄板の上で滑って転んだんですよ。頭を打ちましてね。出血がひどくて、傷口をタオルで抑えながら、救急車を待っていたんですけど、女の子の顔がみるみる蒼くなっていって。怖かったですよぉ」
「あらぁ、それは大変でしたね。女の子は? 大丈夫でしたか?」

「はい、1週間くらいたって、お父さんと一緒にお礼に見えて・・・頭を三針縫われたけれども、髪の毛に隠れて、傷口も見えないからって、ほっとしてらっしゃいました」
「そうですか・・何よりでしたね」

「はい、良かったねぇって思ったら、ついつい余計な口がすべちゃって・・・・・・・・・」
「?口が重くなっちゃいましたね」

「ええ女の子に説教しちゃったら、お父さんも固い顔になっちゃって。『たしかにうちの子が傘差し運転をしていたのが悪いけど、お宅の店の前の鉄板、お宅がしいたんでしょ。あれさえなければうちの子が転ぶこともなかったんじゃないかな。救急車を呼んでいただいてなんだけど、そんなに頭ごなしに叱らんかていいんじゃないですか』って言われたんです。女の子は女の子で泣き出してしまうし・・・。女房が、『まぁ、あんた、怪我がたいしたことなかったからいいじゃない・・』ってとりなしてくれなかったら、どうなっていたか・・・」
「なるほど、気まずい思いをしちゃったわけですね。それは、岩山さんが、自転車に乗ってくれる人を大事にしているし、自転車を愛しているからでしょう?」

「そうなのかなぁ?・・・自転車屋なんて、今時儲からないから、もう辞めようかなっと思っているのに・・。そうなんだろうか?」
「たしかに、岩山さんのこれまでのコーチングのテーマは、自転車屋さんからの転業、自転車屋さんの廃業でしたね。儲からないからやめたいという結論を持っているということは、自分の中にありました。それは変ってない?」

「はい、儲からないと、女房子供養えないですから・・・女房の機嫌も悪いですからねぇ」
「奥さんは、儲からないから機嫌が悪いんでしたっけ?奥さんのことを観察していただくように前回のセッションのときに宿題にしてありましたけど、観察してくれましたか?」

「はい、レジのお金がなくって支払日だったりすると、やっぱり銀行に行く前に、大きなため息ついてますよ」
「そんなとき、奥さんの気持ちを確認してくださいましたか?」

「コーチ、それは聞けないですよ。面と向かって、お金がないからため息つくのか?なんてことは」
「もっと、機嫌が悪くなりそうだから?」

「そうですよ。自転車屋は親父の代からやっているから、なんとなく継いだけど、今みたいに何でもスーパーやホームセンターで買えて、値段も安くなっちゃったら、うちらみたいな専門店は埒があかんのですよ」
「なるほど、経営が苦しいと感じている岩山さんの気持ちは、理解出来ます」

「でも、そのことと、奥さんの気持ちを確かめないこととは、違うと思いますよ。むしろ、明らかにするのを恐れているのは、岩山さん自身であるような気がしてなりません」
「きついこと、言いますね」

「はい、岩山さんの心の中に、この問題の根っこがあると感じるからです。もう少し、付け加えるならば、自転車を愛しているのに、経営に身を入れようとしない岩山さんに、奥さんは苛立っているだけに感じられるからです。だとしたら、奥さんが尚、気の毒に思えます」
「私は、自転車を愛しているんでしょうか?なんとなく、親父の後を継ぎ、なんとなく、これまでやってきた。大勢の子供たちが自転車を壊すたび、直してきたけど、修理すれば代金が入るからまぁいいかなぁと思っていただけの気がしますけど・・・コーチがいうほど、私は愛してもいないし、私のことを買い被りじゃないですか?」

「もし仮に、廃業して企業に入るとしても、たとえば、自転車を愛しているなら、自転車の知識とこれまでの経験を生かして自転車を売る営業の仕事が出来ます。どういう修理をしたらよいのか、指導者になることも出来ます。でも、自転車は二度とごめんということになれば、自転車とはまったく関係のない違う道を探すことになります」
「ああ、なるほど。そうですね。自転車を売るねぇ・・・。自転車を海外から輸入する会社に入るっていうのもいいですかネェ?」

「もちろんです。海外の自転車は、魅力があるんですか?」
「はい、デザイン性が高いんです」

「岩山さんにとって、自転車の存在は、大きいように思えます。でも、今は、目を背けたい?」
「・・・生活がありますからねぇ・・・」

「たしかに、レジのお金がないということは、不安な気持ちになりますよね?ただ、先日お話しの中にあった、子供がパンクで困っていると、ただで修理してあげちゃうとか、鍵をなくして困っている子供の自転車の鍵を外してあげるとか。お金を意識しないときもあるじゃないですか?」
「たしかに、そうなんですよね。後で、あ~あっと後悔するんですよ。また、金にならないこと、やっちゃったって・・・(大きなため息を漏らす)」

「岩山さんがパンクで困っている子や鍵を無くして困っている子の世話をすると、奥さんが怒った顔をしていますか」
「いえ、それは見たことはありません。ただ、お金が入らない余計なことを私がしているわけで、怒った顔をすると思いますよ」

「つまり、岩山さんの想像した、奥さんの顔でしょう?」
「はぁ、言われてみればそうですねぇ・・」

「ほんとうに怒ったときの理由を考えましょうか?」
「そうですねぇ・・・。いつ怒ったかな?・・・この間の、俺が余分なことを言ったときは、結構怖い顔してたなぁ・・・」

「理由を考えたことがありますか?」
「余分なこと言わなきゃ良かった?」

「余分であったかどうかも、岩山さんのイメージですよね?」
「ああ・・・わからんですねぇ・・・女房がどう思ってそういったのか・・・?」

「もう一度、チャレンジしてみましょうか? 奥さんの気持ちを確認するという宿題に」
「そうですねぇ・・・やってみます」

最後は、消え入りそうな小さな声で宣言した岩山さん。自分の心にまったく気づけずにいます。
男性は、どちらかといえば、感情を扱うことが苦手です。自分の感情も、家族の感情も、出来れば触れたくないと思っているか、わからないから触れてはならないか?苦手だから触れないようにしているのかのいずれかです。
自分の人生は自分で設計し、自ら行動することによっていかようにも変化させることが出来る、そのためには、自分の感情に正直になることが大切であることに早く気づいて欲しいと願うばかりです。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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熱血社長と仕事以外に夢をもつ契約社員二人へのコーチング~男としての生き様に概念の強い社長が、意に反する社員を評価する~

「林社長、おはようございます」
「おはようございます。どうもすっきりしませんなぁ・・」

「曇り空っていう感じですか?」
「はい、そうですね。契約社員の西川のことなんですが、一生懸命やっているんですけれどもね、本人はね。でも、どこかピントがずれているんですよ。子供が四人もいるのに、契約社員でいいっていう気が知れませんね。僕が古いんでしょうかネェ」

「林社長は、今年でお仕事始められて何年でしたっけ?」
「大学1年のときに親父が急逝して以来だから、もう、五〇年ですかネェ」

「お母様が、代表取締役になって、林さんは?」
「大学生ですからね、僕は社員の一人。親父を支えてくれていた社員が一人。三人で仕事を続けました」

「お母様から受け継がれたのは?」
「お袋は二〇年、社長として頑張りました」

「そうすると、三九歳でお母様からバトンを受け取られたのかしら?」
「そうですね、男四〇になれば責任はしょえるだろうと、お袋は潔く引退しました」

「確かに、キャリアの長さで言えば、古い経営者でしょうね。ただ、時間的な長さだけで気持ちがふさがっているわけではないですよね?」
「はい、実は、契約社員の西川というのは、男性なんです。子供四人もいるのに、1年ごとの契約でいいというし、契約社員ですからネェ・・・他の社員と同じように給料は払えない。それどころか、今度の契約更新は、見合わせようと人事から結論が出された。男なのに、どうやって、これから家族を守るのか」

「人事担当者からの契約継続打ち切りの結論の理由は?」
「なんかね、ピリッとしないんですよ。仕事の面でも、考えの面でも。男の癖におせっかいというか。自分の身の振り方も考えられん男が、何が他人の世話なのか・・」

「それは、一つの実例でしょうけれども、他に、契約継続しない理由はあるんじゃないですか?」
「たとえば、担当として責任もたせている車両管理が出来んのですよ・・・。与えている仕事が出来ないんじゃ、給料払う価値がないですよね?」

「車両管理以外の仕事は出来るんですか?」
「いやぁ、彼がね、この間発注間違いした件では、二〇〇万円ほど損をしたし」

「でも、彼は、単年度契約者である自分の立場を理解しているんでしょう?それならば、ミスが続けば、当然、契約継続が難しくなることは理解しているはずですよね?挽回しようとか、弁解したとか?そういったことはないんですか?」
「それよりも、なぜ、彼がね、契約社員でいいのかがわからないんですよ。契約社員で与えられている仕事も上手く出来ない。だから、ボーナスもパートさんと同じくらい。年間三〇〇万円で契約したんですが、男だし、仕事が出来るなら、ボーナスをたくさん上げようと思っていたんですが、それも出来ない。
『どうしてもっと腰を入れて仕事をしないのか?正社員になることを考えたらどうか?』と聴いたんですが、『いや、夢があるんで、契約社員のままでいいです』と言うんです。『ただ、社長、生活出来ないんですよ、今の給料じゃ、だから、もう少し上げていただけませんか?』と、言われました」

「契約社員の西川さんは、夢は持っているんですよね?」
「はい、だけど、その夢って何だ?って聴いても、応えないし。あいつは、男の責任を果たせていないじゃないかなぁ、奥さんがどう思ってるかわからないけれども、あれじゃあ、かみさんがかわいそうだよねぇ」

「林社長は、男は、女房、子供を養わなくちゃならない?って考えですか?」
「あったり前でしょう?男なんですよ。男が四人も子供を持って、何が夢ですか?ばっかばかしい」

「ずいぶん、辛口ですね。林社長の夢は?」
「男としての夢は、事業を五年後に息子に譲るんですが、事業の発展と一族の発展を願うという夢はありますよ。男ですから・・」

「なるほどね。林さんが契約社員の西川さんに伝えたいことは、ずばり、何ですか?」
「男として、家族を泣かせるような生き方をするな!ということです」

「契約社員の西川さんは、自分の人生に満足してはいらっしゃらないんでしょうか?」
「僕は、理解出来ませんね。社員にならないかと、この二年の間、ずっと誘ってみたし。仕事も正社員と同じように教えてきたし。ただ、自分の考えを受け入れてもらえなかったのは、残念ですねぇ」

「なるほどね。林社長は、どうしたいんですか?」
「彼には、三月でやめてもらう。と言っても、一生懸命働いてもらいたいのは当然です。男だから、責任はきちんと果たしてもらわなければなりません」

「林社長、彼の立場にたってご自身(林社長)を見たら、林社長は男の中の男として眼に写るでしょうか?」
「彼の立場にたって僕を見れば、もちろん、日本の男の見本でしょう。自信がありますよ」

「なるほど。そんな林社長から契約社員の西川さんを見ると?」
「情けない男ですよね。仕事もまぁまぁ、家族にもまぁまぁなんて生活じゃあねぇ。奥さんが可愛そうですよ」

「西川さんの奥さんから相談があったんですか?」
「相談はありませんが、そんなことはわかりますよ。あれでは奥さんも大変でしょうな」

「といって、奥さんを雇うわけにはいかないわけですよね?」
「残念ですが、それは出来ません」

「ところで、そんなダメ社員のとの契約を打ち切るのであればせいせいして心の中は日本晴れだと思うんですが、林社長のお気持ちが曇り空なのはどうしてでしょう?」
「と言っても、彼の生活が心配でネェ・・心さえ入れ替えて、夢だなんていってないで、腰をすえて働けばいいのに。仕事が出来ない奴は、評価出来ないだけです」

「どんな仕事が出来るようになって欲しいのですか?」
「与えている仕事は、古くからのお取引先様の商品管理と発注業務、車両管理。これだけでもいいから、会社に損を出させるようなことはやめてもらいたい」

「そのお気持ちは、話されましたか?」
「言ってもわからんでしょう・・。それに、もう、契約の継続をしないことは、人事とも確認してあります。残念ですが・・・」

どうも林社長の気持ちは揺れているようです。
辞めさせるつもりではあるけれども、家族のために生活の心配をしている。
林社長が持つ「男」に対するイメージで、評価点が辛くなっているようにも思います。
こんな林社長の気持ちを、契約社員西川さんがどう感じるのか?
Ⅱ・8で西川さんのセッションをご紹介します。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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