コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

社交性高く、情報通なコミュニケーションの達人編


暑い日が続きますが、皆さん元気に過ごしていますか?
才能(資質)や性格を活かしたコーチングの事例。
今回は、
新規顧客とのつながりを始める
「社交性高く、情報通なコミュニケーションの達人編」です。
部下の持つ性格や才能にあった表現やアプローチを心がけるということは、相手の信頼を勝ち得、モチベーション向上に不可欠な要素を満たすことを実感してくださいね。

係長:「この間、ようやく受注したAさんのお客様と会食をすることにしたんだ。
担当のAさんと同席してほしいんだが・・・」

部下:「え?いいんですか?僕は、何にもしてないんですけど・・・」
係長:「もちろん、あれはAさんの頑張りが成果に繋がった案件だ」

部下:「粘っていましたね・・・」
係長:「これから、お客様の信頼に応えられる関係を作るためには、ぜひ、君も同席して、つながりを強くするために、打ち解けられる席にしたいんだ」
部下:「ハイ! ありがとうございます。」

係長:「Aさんだけでなく、我が社として、先方との絆を深めたい」
部下:「承知しました!まずは、お客様がどんな方か?知りあうために、くつろいでいただけるよう心がけます」

係長:「そうだ。それには、君の初対面の人と、物怖じせず接する力が必要なんだ」
部下:「ありがとうございます!」

係長:「先方の担当者がどんな考え方をなさるかが分かれば、お互いのよさを活かして相乗効果を得ることができると思う」
部下:「わかりました!Aさんのためにも、頑張ります!」

係長:「よろしく頼むよ」


社交性の高い人の表現:
絆を結ぶ、くつろがせる、親しみ、つながり、打ち解ける

情報通なコミュニケーションの達人の行動特性:
話し上手で話し好き
タレント性がある
知的好奇心が旺盛で、収集した情報を論理的に分析し適切な選択をする


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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規律性ある忍耐強い人


前回からスタートした、才能(資質)や性格を活かしたコーチングの事例。
職場での人材育成やクライアントのコーチングに役立たせていただくためには、相手をじっくり観察するようにしてくださいね。

正しく仕事を進めるための仕組み作り。「原点思考高く忍耐強い真面目な人編」

係長:「5S運動がマンネリ化しているというあの件、何とかしろと、上がうるさいんだよ」
部下:「はい、係長、わたしもみんなの意識が薄れていて、事故に繋がりはしないか、心配です」

係長:「とはいってもなぁ・・・朝礼で毎日声に出して確認しているんだが・・」
部下:「係長。朝礼での確認は、みんな気持ちを込めていませんよ」

係長:「そうかなぁ?あんなに大きな声で唱和するんだ。気持ちが入らないのは、おかしいんじゃないか?」
部下:「係長。そもそも、この朝礼での唱和の目的をみんな、見失っているんじゃないでしょうか?」

係長:「どういうことだ?」
部下:「はい。大声で唱和することが目的になっていて、5Sを意識して仕事しようという気持ちに結びついていないと思うんです。一度、原点に戻って、5Sの再認識を促す何かをしたほうがいいと思うんです」

係長:「なるほど。で、何をしたらいいと思う?」
部下:「そうですね・・・5Sの導入は、他社の真似をしたかっただけではなく、小さなミスによって、大きな損失を出したあの失敗を繰り返さないため
でしたよね。今、社員もずいぶん入れ替わって、あの損失を知らない人も増えてきています。わたし自身も、説明できるかと言われたら、自信ないですもん。」

係長:「そうか。意識が薄れてきているということか?」
部下:「というよりは、目的を見失っているという感じです。来週の月曜日の朝礼で、そのあたり、説明したらどうでしょうか?」

係長:「そうだな。形骸化したことをやり続けるのもな。意味がないことだな」
部下:「はい。今週末までに、資料などを読み返して、説明できるようにしておきます」

係長:「膨大な資料だぞ?大丈夫か?」
部下:「まだ時間ありますから、やりくりしたら、間に合うと思います」

係長:「そうか、では頼む。君は忍耐力があるから、安心して任せられるよ」

長年の取組は、その目的や目標を知らずに、みんなと同じにしておいたほうがいいんだろうなぁという感覚で、受け入れる人ができてきます。
そして目的や目標の不明確さは、当事者意識を失わせることに繋がります。
古い職場の風習も、いつものままにしておこうと看過せず、人の入れ替えなどの機会に見直し、意識付けをし直す時、規律性の高い忍耐強く細かな作業を真面目にこなすことのできる人材を活用してみてくださいね。

原点思考の高い人の表現:
積み重ね、成り立ち、そもそも、歴史、過去の失敗から学ぶ。

忍耐強い性格の行動特性:
完璧に仕事を仕上げようと裏付けをする。
根気強く細心の注意を払った職務の遂行。
集中している時は、話しかけづらい雰囲気を持つ。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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調整力あるノリの良い人


皆さんのキャリアは、順調に到着地点に向かって進んでいますか?
自分自身をどう生かすか? もっとも関心を寄せ、研究したいことですね。
また、あなたの周りの人をどう輝かせるか? コーチにとっては、これも関心の高いところですね。

今回から、才能(資質)や性格を活かしたコーチングの事例をご紹介します。
職場での人材育成やクライアントのコーチングにお役に立てたら嬉しいです!

職場に一人はいてほしい強い味方。「調整力が高く、ノリがいい性格の人編」

係長:「このところ、職場の空気が重いんだよなぁ」
部下:「係長、そうなんですよ!なんだかみんな元気がないですよね」

係長:「やっぱりそう感じるか?」
部下:「はい!この間の新人の○君の初受注直前までいった、あの失敗が大きいんじゃないでしょうか?」

係長:「ああ、あれは残念だった。自分も迂闊だったよ。まさか失注とはなぁ」
部下:「係長が浮かない顔したら、この係はみんな沈みますよ」

係長:「君に慰められるとはなぁ・・・」
部下:「係長、この空気を何とかしないと。今月の予算達成、厳しいですよ」

係長:「そうだなぁ・・・どうしたらいいと思う?」
部下:「飲み会、しばらくやってないじゃないですか?」

係長:「でもなぁ、売り上げできないと、みんな戻りも遅いだろう?」
部下:「たしかに。みんな遅いですよね。帰り辛いですもん」

係長:「でも、空気は変えたいよな?何かアイデアないか?」
部下:「そうですね・・・夜は、みんなそれぞれの予定もあるでしょうね。だけど、やっぱりある程度の時間を一緒に過ごすには、仕事を早めに切り上げた方がいいと思うんです。とにかく、今よりもっといい空気にしますから、今週末まで、時間もらってもいいですか?
みんなの時間を作ってもらうよう調整します。あ!係長。基本割り勘ですけど・・よろしくお願いします!」

係長:「君はいつもスピーディで助かるよ。仕事の早い君にしかできないことだから、よろしく頼む」

職場の空気は、ほんの少しのことで変化します。
その空気を入れ替えるだけで、人の動きが変わることがあります。
短い時間で、一瞬に何かを変える時には、調整力の高い、ノリの良い性格の人の才能・性格を活かして、特別な指示を与えてみてください。
新しい協調関係を作るために、躊躇なく自ら混乱に飛び込みます。
ただし、このタイプの人材は、あまり細かな指示を出すと、行動が起こせない傾向があるため、できる限り、ざっくりとした思いだけを伝えるにとどめ、細部は任せるようにすると強みを活かした行動ができます。

調整力の高い人の表現:調整、幹事、状況、しくみ、選択肢、もっといい方法。

ノリのいい性格の行動特性:とにかくスピーディに動く早い仕事が早いと褒められることでより大きな成果を上げる。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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【再掲載】青年実業家の事業拡大の悩み~企業合併の利益と弊害のバランスをはかり、戦略を立てる~


青年実業家の日比野さん。起業して早八年。会社はようやく軌道に乗り始め、経常利益も順調に増えていました。自分は「運がいい、人に恵まれている」と、年齢に似合わず常日頃から感謝の言葉を多く口にする誠実な人柄が取引先や社員から信頼され、実直な企業経営が高く評価されていました。
そんな日比野さんに大きな転機が訪れたのは、企業合併の話が持ち上がってからでした。
借入金なしの企業経営姿勢を評価されたのか? 倒産寸前のライバル会社を買収しないかと持ちかけられたのです。
日比野さんの今日のテーマは、もちろん、この買収についてでした。

「おはようございます。今朝は少し肌寒かったように思いますが、どうですか朝の散歩は、気持ちよくすごせましたか?」

「いやぁ、道を歩いていても、どうも下ばかり見ているようで、すれ違う人に挨拶されて、初めて気づく始末で・・元気がないと見られたかも知れませんねぇ」

「日比野さんの元気がないことから、皆さんにどんなことを思わせるんでしょう」

「うん、これまでは自分から挨拶しなかったことがありませんから、私が挨拶をせずに通り過ぎていくことに対して変に思ったでしょうねぇ」

「人にも分かるぐらい、日比野さんの雰囲気が変わったんですね。ところで、日比野さんが気になったことは、どんなことですか?」

「この合併の話をいただいたときから、ずっと、こんなチャンスはない、大きくなれるんだから躊躇することはないと思って、正直嬉しいんです。ただ、吸収される側の社員の統制が自分で取れるのか?と考えると、今は、まだ、自分では無理なのではないかと思うんです。企業規模は、本来、相手のほうが大きかったわけですからねぇ」

「なるほど、自分の会社より大きな資本を持っていた会社を吸収するのに、吸収したほうの社員の統制をどうするか?ということが不安なんですね」

「はい、自分はやはり、零細企業の社長の器だと思うんです。中規模の会社の社員とうちでこれまで一緒にがんばってくれた社員が馴染めなければ、私は企業を大きくする意味がないと思うのです。しかし、誰かが、この会社を吸収しなければ、その会社の社員や家族は路頭に迷うわけで・・」

「どこまでが、日比野さんの責任範囲なんでしょうねぇ」

「うん・・・そうですね。この話が持ち上がらなければ、ライバル会社の社員だったわけですからねぇ。私が面倒見なければと言うのは、おこがましい話ですかねぇ」

「いや、おこがましいとは申しませんが、ずいぶん、責任を感じておられるようですから、その必要があるのかと思っただけです」

「そうですね。たしかに、客観的に見たらおかしいでしょうね。私自身が若い頃、買収された企業の社員だった経験があってね・・無力感と言うか、モチベーションが下がってどうしようもなかったときを過ごした経験があるもんだから、なんとか、あの気持ちを味わわせないようにしたいと思ってねぇ」

「そうなんですか、買収された側の企業の社員だったんですねぇ・・辛い気持ちが分かるだけに、慎重になるわけですね」

「慎重にというか、戦略を立てておかないと、今いるうちの社員のモチベーションも一緒に下がれば、致命的に生産性が落ちるわけですから、それは回避したいということです」

「なるほど、この合併は、チャンスであるとおっしゃっただけありますね。混乱なく、事業を続けたいとお考えなんですね」

「はい、粛々と事業を続けていかないと、お客様を悲しませることになってはいけませんし。何かいい方法はないものでしょうか?」

「ご自身の社員経験を踏まえて、日比野さんが出来ることはなんですか?」

「私が出来ることは、合併後の戦略を明確にすることと、吸収した会社の社員もされた側の社員も、これからは一緒に企業のために尽くして欲しいという気持ちを分かってもらうことかな?」

「なるほど、合併は戦略の一つとして行ったと言うことを明確にすることと、社員は一つになって企業のために尽くして欲しいということを分かってもらいたいわけですね?」

「はい、そうですね。」

「そのために、日比野さんはどんな方法でみんなに語りますか?」

「そうですねぇ。社内誌よりも、ビデオかなぁ・・」

「いずれにしても、直接ではないのですか?」

「いや、だめかな?直接支店を全部回るとなると、スケジュールの調整が難しくないかな?」

「幾つの支店を回ることになるのですか?」

「新しく増えるから、全部で八支店かな?」

「1日一つでも八日間ですよね?」

「そうだねぇ・・八日間だけど、今、すでに決まっている予定を調整するのは相手に悪いからねぇ・・」

「うん・・・社員のことを考えたり、お客様のことを考えたり、大変ですね。どちらか一つと選択を迫ったら、どちらを選ばれるんでしょうか?」

「一つに絞る・・難しいなぁ・・。やはり社員のモチベーションを下げないほうが先かなぁ・・」

「何もかもお一人でしようとなさっているんですが、誰か、日比野さんの代わりになれる方はいらっしゃらないのですか?」

「お客様を任せることも出来ないし、方向を示すのは、トップの仕事だし・・うん・・困りましたねぇ」

日比野さんは、確かに誠実に物事に真正面からまじめに取り組む性格ですが、どうも優先順位がつけられないようです。
こんなふうに、目標を一つに絞りきれないときのセッションは、堂々巡りに陥りやすく、最初に戻って、シンプルに目標を明確にすると良いときがあります。
何のためにそれをするのか。大きな決断をするときは、理性を優先するのか、感情を優先するのか。
挑戦するのか、現状維持を大事にするのか。チャンクアップとチャンクダウンを使い分けしてコーチングをしていきます。
迷いや戸惑い、不安が大きいほど、コーチの役割は重要になります。イメージが描けなくなっているクライアントには、選択肢を与えるためにも、明確なイメージを描くようにしましょう。
コーチが押し付ける形の指示や命令は、絶対に避けなければなりませんが、クライアントが自分で考え答をだしていくための質問の形をとった助言・提案、例えば「コーチはこのようにしたらいいのでないかと考えますが、どうお考えになりますか」このような問いかけを必要であれば勇気をもって与えることも大切です。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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【再掲載】急に体調をこわしたラーメン屋さんの悩み~真剣に話を聴いてもらうことによるモチベーション向上効果~


ラーメン屋を営んで二十年。開店当初のラーメンブームに乗り、マスコミへの露出度も高く順調に十五年は「あっ!」という間に過ぎたという山形さん。忙しさにかまけて、休日もとらず、家族との時間も作れない毎日でしたが、「仕事を成功させるのが男の役目」と割り切った考え方をしていたため、夫婦の間に出来た溝が埋まらず二年前に離婚されたそうです。

今年に入って受けた健康診断により、肝臓が悪いことが判明。三ヶ月の入院が必要と宣告を受けてしまいました。店は、アルバイトがいるだけで、とても自分が入院中の仕事を任せられるような腕を持っていない為、急遽、店を長期休業とすることにし、ともかく体を治すことに専念することにしたにもかかわらず、廃業に追い込まれるのではないか、果たして復帰出来るのかと不安でならず、健康を害して悪い顔色が、なおさら、冴えない顔色となっている山形さん。

無料体験セッションをお受けにいらした最初の印象は、「この人、倒れそう・・・」というものでした。
「一生懸命、仕事に励んでいただけなのに・・。家族のためにと頑張っていたのに、気がつくと
離婚して一人ぼっち。入院同意書にサインを頼める家族がいない。手術が必要になっても、心配してくれる家族がいないんです。万一の時にも葬式を出してくれる人もいない。たしかに、特別、健康に気を配ってきたわけじゃない。でも、仕事をしても大して疲れるわけじゃなく、夜更かしをしないようにして朝だってすっきり起きていたし、体に悪いことはあまりしないようにしていたし。酒だって、お客さんに勧められたとき意外は飲まなかったし、タバコは、ラーメン屋を開業するときに1日の売り上げが三十万円になるまでは・・と願をかけて止めているうちに、自然に吸わなくなったし。何にも悪いことなんかしてこなかったのに・・・。どうして、私がこんな目にあわなければいけないんだ」
山形さんは、悔しそうに語ったままうつむき、言葉が続かなくなってしまいました。

「山形さん、お尋ねしたいことがあるんですが、よろしいですか?山形さんは今日コーチングを受けにこられているわけですが、コーチングってどんなものか、あらかじめ本を読んだり、情
報を集めたりしたことはありますか?」
「いえ、どういうものかわからなかったんですが、サラリーマンの若いお客さんが『コーチングがいいとか』、『コーチに相談するとすっきりして、ただよっていた霧がすっきりと晴れるような気がするとか』って言っていたのを思い出して・・。新聞のお知らせ欄に乗っていた案内を頼りに伺いました」

「そうですか。新聞をごらんいただいたんですね。ありがとうございます。今、お話をお聞きして、山形さんが抱えている悩みが、どれだけ深く大きなものか、私にはよく伝わってきます。しかし、山形さん。残念ですが、私はあなたの悩みを解決するのが仕事ではありません。あなたがこれからどんなふうに生きていきたいのかとか、どんな仕事をしたいのかとか、人生をどんなふうに計画して行動していきたいのかを具体的にイメージし、行動するための方法を一緒に考えるなど手助けをするのがコーチの仕事、つまり私に出来ることなんです。
現状の山形さんの苦労や不安はよく理解出来ました。残りの時間を使って、山形さんがこのセッションを通して、すこしでも前向きな気持ちを取り戻し、自分の人生は自分で決めることが出来ると感じられるようにしたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
「そんな・・・」
「山形さん、山形さんにとって、健康を害したことは大きなショックだったのですか?
それとも、こういう生活だったら、ある程度体が壊れることも気がついていたのでしょうか?」
山形さんは、沈んだ表情のまま答えてくれました。「実は決して健康に自信があったわけではありません。毎晩、遅くまで仕事をしていたし、新しいスープの開発のときは、何日も徹夜に近い状態になっていたこともあります。面白かったのでまったく疲れを感じませんでした。家族も気持ちは一緒に頑張ってくれていると思っていましたし・・・・。離婚してからの、ここ二年間くらいは、家族もいなくなってしまったので、家に帰る理由も目的もなくずっと店の奥の小さな部屋で寝ている始末でした。店が休みの日も研究しないと店がつぶれると思って他のお店のラーメンを食べ歩いていました」
「山形さんは、研究熱心だったんですね。私は山形さんがとてもまじめな努力家であると思います。ところで、山形さんが追求した完璧なスープの味は完成したのですか?」

「いや、完成はしていません。というか、どんな味にしたらいいか、まったくわからなくなってしまったといったほうがいいなぁ・・」
「そうですか。残念なお気持ちも、これからどうしたらいいのかという不安な気持ちでいらっしゃることもよくわかります。しかし、何にしても、まずは健康を取り戻すことが一番大切だと思うのですが、ご自身は今回の入院をどう受け止めていらっしゃるんでしょうか?」

「最初はやけっぱちでした。入院するのも止めようかと思い、せっかく先生がベッドを開けてくれた日を無視して、行かなかったんです。家族のためになるわけじゃないし。店だっていつまで持つかわからない。店をなんとかするしか私の人生はない。それなのにここで店を休むなんて、私から唯一の希望の店を取り上げるなんて・・・一体私の人生は、何のためにあったんだかと思うと、体に力が入らなくて。ただ、アルバイトしてくれていた吉山君が、『店長が帰ってくるのを楽しみに待ってますから。とりあえず働く次のバイト先は駅前のコンビニです。再開するときは、ぜったい声かけてくださいね。俺、店長のラーメンに対する頑固さが好きだったから・・』と言ってくれて。

家族は失ったけど、こんな自分のことを慕ってくれた奴がいたのかと思うと、入院して、体を治そうと思えるようになって・・」
「そうですか。今回の入院治療のきっかけは、アルバイトの吉山さんだったわけですね。
治ってお店を再開することが出来たら、彼を呼び戻してまた一緒にやりますか?」
「もちろんです。だからこそ、入院する決意をしたんだし・・」

そう言いながら、無料体験のセッションの時間が終わりました。
無料体験のセッションですから、残念ながらコーチとしてこれ以上の継続的な支援は出来ません。しかし、今、この時に感じていることを誰かに真剣に聞いてもらうだけで、人の意識はずいぶん変わっていくものです。山形さんも、最初は青白く生気のない顔をしていましたが、三十分の時間をともに過ごすうちに、顔に赤みが差し、少しだけですが、いきいきとした表情を取り戻してくれたように感じられました。

人生は、すべてをバランスよく過ごす力を備えておかなければなりません。
家庭生活、自己実現、仕事、健康、お金(経済力)など、いくつものバランスによって人生への満足感や、達成感が変わってくるものです。
私たちコーチにとって、人生のバランスがうまく図られているかどうかを客観的に冷静に、第三者の視点で見つめてあげることが使命であるのではないかを考えさせられるセッションでした。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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