戦略の立案

どのような場合においても、目標を達成するには戦略が必要です。効果的なコミュニケーションにおいても戦略がなければ成果は期待できません。

1.目標設定と達成方法

(1)人間関係の構築

相手に親しみを持ってもらい、心を開いて人間関係を作るという目的においてコミュニケーションは社交的な機能を果たします。

この機能を表す具体的な行為が、「挨拶」や「会話」です。

(2)情報の伝達

相手に正確にわかりやすく情報を提供するという目的で、コミュニケーションは伝達的機能を果たします。

この機能を表す具体的な行割に、「指示」「報告」「説明」などがあります。

(3)協力の獲得

相手をその気にさせ、こちらの意図に沿って自発的な行動を促すことを目的とする場合のコミュニケーションは、協力的機能を果たします。

この機能を表す具体的な行為が、「説得」「助言」「忠告」などです。

2.自覚と行動基準

戦略を決定するには、「自覚」と「行動基準」という二つの要素が必要となります。

人間は各々違っている為、たとえ目標が同じであっても、その人に合った戦略を持つことが効果的なコミュニケーションにつながるからです。

(1)自覚

自己認識を行い、自分の強みや弱み、使う言葉の解釈、思考の特性を知っておくことが、コミュニケーションスキルの向上に役立ちます。

(2)行動基準

コミュニケーション能力を発揮し成果を得るためには、話を始める前に自分の行動基準を決めておくことが必要となります。

行動基準とは、次の2点です。
・話の目的を明確に伝えることを考えます。
・タイムリミットを決めます。

話し方の基本

1.心構え

積極性:自分から相手に働きかける積極的な心をもって話をします。

共感性:聴き手の内面に配慮する共感的な心をもって話をします。

柔軟性:状況に合わせて対応する柔軟な心をもって話をします。

2.発声・発音・間の取り方

発声は、相手に届く声量であるかどうか、威嚇的に聞こえるほど大き過ぎないか、声質の高さや低さなどに注意します。

明瞭な発音は、顎の開き方で決まると言われています。特に「あ」を発音する時の発音の違いによって、声の明瞭性が決まるのです。

間を取ることは、話にメリハリをもたせ、相手との呼吸を合わせる効果があります。

3.アイコンタクトと観察力

目は口ほどにものを言う。

なぜなら、人が相対する人に好意を持つ時は、その相手の表情占める割合が55%であると言われており、その表情の中でも最も印象に残るのは「目」なのです。

4.表現の原則

(1)わかりやすく話します

わかりやすく話すには、5W3H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、どれぐらいの時間で、どれぐらいの費用で)で整理しておくことが必要となります。

(2)簡潔に話す

簡潔な話とは、要点を絞り込んだ話のことです。

必要な内容を、必要な時に、必要な人に、必要なだけ話すことを意識します。

話を簡潔にする為には、始めのうちは内容をある程度十分な量を考え、それから必要な部分だけに絞り込んでいく、というプロセスを取ります。

始めから絞り込もうとすると、重要なものまでが抜け落ちてしまうこともあるからです。

(3)印象深く話す

話の内容が効果的だと相手に思わせるには、印象深さも重要な要素です。

これには、内容にかかわるものと、話し方のスキルにかかわるものと、両方が関係してきます。

話にインパクトを与える表現技術で内容に関するものでは、相手の頭の中にイメージを描くことができるようにすることです。

相手にイメージを描かせるには、まず自分ならどうなのかを考え、次に相手のことを考えて接点を見つけることです。

話し方のスキルにおいてインパクトの強い表現とは、次のように要約できます。

a.情熱を持って話します。
b.感情を込めて話します。
C.声の抑揚に気を配ります。

5.ボディーランゲージ

人間は、無意識に、また意識的に、ボディーランゲージによって様々な心の動きを相手に伝えようとしています。

主なボディーランゲージには、次のようなものがあります。

(1)身振り・手振り
・指で示す
・手や顔を横に振る(断る・ノーと言う)
・手を合わせる(お願いする・謝る・感謝する)
・形を示す(大きさや形状を表す)

(2)体に触れる
・手を握る(感謝・好意・親愛を示す)

(3)表情
・気持ちが顔に表れる(言葉よりも物語る)

(4)目の動き
・表情と共に気持ちを表す

(5)姿勢
・ふんぞりかえる(威張っている)
・うなだれる(失意・謝罪を表す)
・体をこわばらせる(緊張を表す)

(6)呼吸
・ため息をつく(情けない・やりきれない・手に余る)
・一息つく(気が楽になる)