昇格して先がわからなくなった店長の悩み~コーチングを通して気持ちを整理し、目標達成をイメージする~

今から十年後には、あなたはどんな人として、社会で活躍していますか?
と問われたセミナーの帰り道、改めて近藤さんは自分のことを考えてみたそうです。
近藤さんは、大学生活を終えて以来、スポーツ用品店の販売員としてキャリアを積み上げていました。途中一度、更に大きなショップの店長を目指して同じ業界の別のグループ会社に転職を成功させ、着実に夢を実現してきました。
新しいショップでは、副店長として採用され、会社が必要とする以上の実績を上げることによって、販売実績もマネジメント能力も、ある一定の評価は得ていました。
いよいよ店長として昇格が決まり、全国販売コンクール優勝の売り上げ実績をつくり、社員教育プランも自ら率先して計画し実行する、自立型人材として働いていました。しかし店長となったとたんに、何かが違うような気がして、急にやる気にならなくなってしまったそうです。
近藤さんは、人材育成にコーチングを早くから取り入れており、自らもコーチングを受けていたので、セッション(会話)のテーマに取り上げて、このもやもやした状態から早く脱しようと思いました。

「近藤さん、あなたの人生という山の頂上から今を見つめてみると、何合目辺りにいると感じていますか?」
という質問に、近藤さんは「まだ、三合目当たりだと思います。いずれは売れるショップ作りを目指す経営者の支援が出来るコンサルタントになることが、頂上の制覇ですから・・」と、答えた近藤さんに対し、コーチは静かに言われたそうです。

「近藤さん、一つの目標の達成は、通過点でしかないんですよ。頂上から見下ろして考えてみましょう。そうすると、二合目への山登りもたしかにきつかったと思います。しかし、それは三合目へのスタートでもあると思いますがいかがですか?」
「近藤さんは、三合目を制覇されたのですが、頂上制覇という大きな目標をお持ちなわけで、それを今あきらめようとは思われていないですよね。四合目、五合目と着実に頂上制覇に向かっていかれることと思います」

「それでは、四合目を制覇したときはどんな気持ちでその日を迎えるのでしょうか?」
「そのとき、近藤さんが手にしているものは何ですか?」

「その次は五合目、六合目・・・そしていよいよ頂上制覇ですね」
「誰と一緒に頂上に立っていますか?」

「頂上制覇したときの気持ちはどんな気持ちでしょうか?」
など、次々にコーチとのセッションが進んでいきました。
「コーチ、明日からの新しいスタートを切るために、明日の朝礼では新しい目標をみんなに宣言しようと思います!」

三十分後、近藤さんはコーチに思い切り大きな声でコミットメントされたそうです。
未来日記を完成させたスッキリ感と、必ず達成出来るという自信にあふれ近藤さんは足取り軽く、帰ったそうです。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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