後継者に悩むマネージャー~現状把握のための点数化で、後継者の姿を見つける~

2012-10-23 18:14:36 : コーチング傾聴提案

残すところ定年まであと八年。
私のチームには、十名の社員がいますが、正社員は三名しかおらず、誰かを後継者として決定し、マネージメントを任せなければならないのですが、一応にみんな大人しく、三名ともに家庭生活を第一におき、残業などせずに終業時間がくるとすぐに帰宅してしまう始末、昇進や昇格は望んでいるとは思えない人材ばかりで、彼らのうち一人に自分のあとをまかせられるんだろうかと気持ちがふさいでいました。
ある日、人事部長である取締役と昼食をご一緒することになったので、山本人事部長に率直に胸のうちを明かしてみようと思いましたが、なかなか勇気が出ず、何となく上の空で食事をしておりました。
すると、山本人事部長から、
「木部君、最近元気がないようだけど、何か悩み事でもあるのか?」と質問を受けました。

どうしようかと迷いながらも、自分のもやもやしていた気持ちを率直に話してみました。

「部長もご存知のように、私の会社人生も先が見えて来ました。そろそろ後継者の準備に入らなければ、いけないと思うのですが、三人とも仕事に対する態度が今ひとつで、私が残業していても、さっさと帰ってしまう連中ばかりで私のあとがまかせるかどうかとても不安です。そういった連中から一人を選ぶことなど到底出来ません」

「なるほど。それは難しい問題だね。それであなたはどのように考えていますか」

「なんとか、彼らのいい点を見つけようと思うのですが、それぞれの満足出来ないことばかりが目に付いてしまうのです。どうしたらいいんでしょうか」

山本人事部長は、「ひとつアドバイスをしてみてもいいかな」と言われました。

「はい。何かいい方法がありましたら、参考にしますのでアドバイスよろしくお願いします」

私がそう答えて、山本人事部長から
「三名の仕事振りや業績など、項目を決めて点数をつけてみたらどうだ?」と、アドバイスを受けたのです。
さっそく、三名を公平に扱うために、マネージャーとして受け継いで欲しい資質や行動などの項目を決めて、点数を付けてみると、はっきり後継者の姿が見えたのです。
ついつい、悪いところや足らないところにばかり目を向けていたため、どれもみんなどんぐりの背比べのようになっていたのですが、現状を把握するための点数付けは、自分の気持ちを整理するのに、とても役に立ったのです。
山本人事部長から、コーチングを学習されていると聞かされたのは、その後お礼と報告を兼ねて昼食にお誘いしたときでした。
知らず知らずのうちに、自分の気持ちを整理出来るコーチングの威力と、山本人事部長に話してよかったという満足をたっぷり味わうことが出来ました。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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