先が見えないと動けない人

才能(資質)や性格を活かしたコーチングの事例。
企業は人なり。どれほど時代が変わったとしても、価値観が変わったとしても。普遍的なものの一つではないでしょうか?
人を育てるということは、意識と知恵、根気比べかもしれませんね。

お手本が社内にいないので頑張れません!という
「先が見えないと動けない人編」

係長:「どうした?この頃。まったく成績が上がらないじゃないか・・・」
部下:「成績が上がらないんじゃなくて、まったくないんです」

係長:「おいおい、開き直ってる場合じゃないだろう?」
部下:「開き直っているんじゃないです。ただ・・・わたしは将来誰をお手本として働けばいいんでしょうか?先が見えないと、やる気がでないんです」

係長:「そうか・・君なりには考えているんだなぁ」
部下:「はい。営業部の先輩や課長をお手本にするとなると、ちょっとキャラが違うんです。だから、お手本には正直、したくないんです」

係長:「そうか・・・君にとってお手本は、そんなに大事な存在なのか?」
部下:「そりゃぁ大事ですよ。だって、お手本を見習えば、成功に近づけるじゃないですか?」

係長:「そうだな。たしかにそれは言える。でも、うちのチームは、みんなとても面白いキャラクターぞろいだから、みんな、お手本でもあり、みんなお手本ではない感じで面白いと思うよ」
部下:「でも、それじゃぁ、わたしはどう成長したらいいか・・想像ができないじゃないですか?」

係長:「なるほど。君にとってイメージできないことは行動すべきではないと思
うんだろうか?」
部下:「はぁ、無駄にしたくないんです。せっかくの時間、一生懸命働いて、成
長したころに上司から、君は求める人材ではないと言われたら・・時間
と努力を無駄にしたくないんですよ。もっと確実に進みたいんです」

係長:「そうか、君は努力の中には無駄になるものがある思っているんだ」
部下:「はい。できる限り、ストレートに進みたいんですよ」

係長:「社内にお手本となる人がいないというが、本当にお手本になる人はいないんだろうか?自分の目指す姿が描き切れていないから、そう思うのであって、5年先のキャリアビジョンやキャリアターゲットをもう一度見直してみたらどうだろう?今のように、君自身が自分の成長に関して、責任を持たないというような姿勢では、わたしも課長も応援しようにもすべがないから残念だよ」
部下:「はぁ・・・あまり気が乗りませんが・・・イメージできないですから」

係長:「うちの会社じゃなくてもいい。自分が目指す方向性に近い人をまず探そう。それからもう一度話そう。そうすれば、会社が君の応援をどうしたらよいか?考えることができるよ」
部下:「はい。だれか、探してみますが・・時間がかかりそうです」

係長:「それは仕方がない。しかし、このまま、いつまでも成績が上がらないと、自分の居場所がなくなることを覚悟しておいたほうがいい。だから、できる限り早く、探すことが望まれると思うよ」
部下:「はぁ・・・」

係長:「それから、君を一人前の社会人として尊重するからこそ言いたいことがある。やる気というのは、自分で作らなければならない時がある。自分のご機嫌は、自分でとらなければならない。それができるようになるために必要なサポートをするから、遠慮なく声をかけてくれると嬉しい」
部下:「はい、ご心配おかけします・・・」

自分の気持ちをどうしたら上げることができるか?探しておくと、スランプに陥った時などにも応用できて、結果的に早く立ち直る手段になることが多いものです。
自分の気持ちさえ、誰かに上げてもらおうとする依存性の高い人や、自分の気持ちが上がらないのは、周りの人に責任があると、責任転嫁する幼稚な人が職場に一人いるだけで、そのチームの生産性が下がってしまいます。

人は、勝手に育つことも稀にはありますが、関わりあう人に育ててもらう必要があるのではないでしょうか?
なぜなら。自分の姿形などの外見や、価値観などの内面的なことも含めて、自分を知っているつもりになっているだけで、自分を見つめて等身大に受け入れることができないからです。

「イメージ」や「印象」などの表現にこだわる部下を育成するときには、できる限り目で見えたように表現したり、イメージを描きやすくなるような表現を多用したりしてみてくださいね。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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