信念と思い込みの違い編
人格やキャリア履歴を活かしたコーチングの事例。
思い込みの激しい部下との会話です。
何か、ヒントを得ていただけると嬉しいです。
係員:「店長、お客様の関心が、このごろ私たちの店から離れているように思う
のですが、店長、感じていらっしゃいますか?」
店長:「そうかな?たまたま、今週は客足が遠のいているだけじゃないかしら?」
係員:「いえ、確実に客足が減っています」
店長:「減っていると感じる理由は何ですか?」
係員:「トイレのペーパーの減り具合です」
店長:「トイレットペーパーの減り具合?面白い観察をしているんですね」
係員:「はい、お客様の来店に左右されるものの一つだからです」
店長:「仮に、客足が減っているとして、何が問題になりますか?」
係員:「はい、客足が伸びなければ、利益も増えることはありません」
店長:「客単価を上げたら・・とは考えない理由は何ですか?」
係員:「絶対的な量には勝てないからです」
店長:「なるほど、それは確かに一つの考え方でしょう。でも、それ以外にもいろんな考え方はあるように思います。あなたが店の利益のことを十分に考えていることは、とてもうれしいし、とてもありがたいと思います。
しかし、だからと言って、一つの考え方にとらわれ過ぎるのはどうかと思います。思い込みと信念を持つことは違うように思いますが、いかがでしょうか?
もう一つ、あなたがそういう考えを持っていることを、職場のみんなに共有してもらいましょう。他のスタッフの考え方も足したり、ひいたりすると、もっと広い視野で課題を見つけることができるようになることでしょう。みんなと協力してみませんか?」
思い込みの激しい人は、他人の感情を共感することが苦手な傾向が見られます。
相手の主観的意見に振り回されると、管理者自身の意見が持てなくなってしまいます。管理者は、多角的に見渡したうえで、課題の発見や、問題への対処ができるようになっておかなければなりません。
部下の思いの強さが思い込みにつながりすぎることがないよう、指導と教育を行うようにしましょう。信念のある人というのは、考え方や表現にブレがないだけでなく、行動も一貫しているので、見分けが可能です。単なる思い込みの激しいだけの人は、言行一致がなく、自分ではそれに気づいていないという致命的な矛盾が見られるので見分けることができることでしょう。
よく使う用言
「いえ、そうではなくて・・・」「絶対に・・・」「やっぱりそうでしょう」など
行動の特徴
人の意見について、受け入れることなく反対の意見を述べる
自論を語りたがる
竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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