上司への信頼と部下自身の肯定感の醸成のために配慮の一言をいつも忘れずに。

職場の何気ない会話の中に、部下のやる気を削ぐ「種」はいくらでもあります。
I太君のように上司をロールモデルにしているようなケースでは、特に配慮が望まれます。

I太君:
「係長、聴いてください!!(若干気持ちが高揚している感じ)課長ってひどいんですよ。僕が都合が悪いってしってるのに、飲み会セットしたんです」

係 長:
「それは怒れるね。課長もひどいな」

I太君:
「そうですよね。僕、前から課長と呑みたいって言ってたし、課長が候補日を上げられたんで、都合が悪い日をちゃんとお伝えしたんです」

係 長:
「I太君は、ちゃんと都合が悪いことをお伝えしたんだね。それでも、その日にされたのは、何か理由があったんじゃないかな? 伺ってみた?」

I太君:
「はい、他の社員の参加が一番多い日に決めたっておっしゃってました。どうせ僕なんて、末端の末端の部下だから、仕方ないですよね」

係 長:
「I太君は、末端の末端の社員なんだろうか?」

I太君:
「そうですよ。僕は、まだ入社2年目ですし、他に誘われたのは、5年以上の社員ばっかりだから、その人たちの方が優先されるのは仕方がないです。でも、僕も予定聞かれたので、ちゃんとお伝えしたから・・・期待していたんです」

係 長:
「期待を損なわれたことに腹が立つんだね。僕が代わりに謝るのはおかしいことかもしれないけれど、僕の気持ちとしてお詫びしたい。申し訳ないことをしたね」

I太君:
「いえいえ、そんな・・・係長にお詫びしてほしいとは思ってないんです。それに、皆の都合を合わせるのは、たいへんだから、課長も仕方がない選択だったと思います。僕、課長のように仕事ができる人になりたくて・・・でも、僕なんか、まだまだ見積もりの一つも自分では作成できていないし。僕がきちんとお伝えしなかったかもしれないから。」

係 長:
「そうなんだ。I太君は、課長のような仕事ができる上司になりたいんだね。また、機会を作るよ。今度は僕が課長とI太君の二人の都合を調整するよう、約束しよう。」

職場の何気ない会話ですが、I太君のように、憧れの人からの声かけであれば、期待を損なわれた残念な気持ちが、自己肯定感を下げてしまう場合があります。
もし、課長が、飲み会の予定がI太君の都合に合わせられなかったことについて、申し訳ないという配慮を言葉で伝えることができていたら、更にI太君の課長への信頼と、自分への肯定感は上がっていたことでしょう。
上司は、いちいちそんなことは言葉で言わなくてもいいだろう…程度に考えることでも、部下の心は沈む場合があります。コーチングを学習することによって、相手の性格や才能に適した声がけができるようになるため、こういったコミュニケーションミスマッチを避けることができるようになるでしょう。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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