使命感を認識することによって仕事への誇りに気づかせる。

どこからか、杉の花粉が飛来してきましたね。
スギ花粉探知機のような自分の鼻が、恨めしいのはこの季節だけです。
匂いに敏感な鼻は、強みでもありますが、一方で花粉にすぐに反応する点においては、弱みでありましょう。強みと弱みは背中合わせ。
一年にこの時期だけ、強く感じます。

さて、今回は、自分は特別でありたいという思いが強い社員とのコーチングを考えましょう。

Aさん:「いつもお疲れ様です、コーチ。わざわざお越しいただいてますが、たいへんなお仕事ですねぇ」
コーチ:「皆さんが、営業に出られるのと同じですよ。Aさんこそ、海外のご出張もあるし。たいへんですね」

Aさん:「いやぁ、営業でも海外への出張があるのは私だけですから、他の人には理解できないでしょうけれども体は疲れますねぇ」
コーチ:「そうでしょうね。ところで、今日はどんなテーマに焦点を合わせましょうか?」

Aさん:タイムマネジメントについてお願いしたいんです」
コーチ:「具体的には?」

Aさん:「はい、その海外出張なんですが、平均して月に1回、5日間くらい出るんですが、ヨーロッパの出張では時差とかあるから、戻ってからの仕事が計画通りこなせず困っているんです」
コーチ:「なるほど。戻ってもすぐに時差に頭が切り替えられない?」

Aさん:「そうですね。克服しようとあの手、この手を使うんですが、どうしても、戻ったその日は、行動が鈍くなってしまって・・」
コーチ:「そうでしょうねぇ。たいへんですね」

Aさん:「といって、戻ったその日は休むわけにもいかないし」
コーチ:「今日のセッションのテーマは、タイムマネジメントだとおっしゃいましたが、タイムマネジメントするために、時差を克服したいと言うことなのかしら?」

Aさん:「ああ、そうかもしれません。何せ、社内では海外出張するのは役員のほか、ごく限られた人間だけなので、時差に悩まされながら仕事をしていることを話しても、同情されるだけで・・・」
コーチ:「なるほど。時差に悩みを抱える自分の立場は理解されていないと感じるのね?」

Aさん:「そうなんです。出張明けに休みなんて、ええ??って感じで、上司も快く思わないようなんです」
コーチ:「上司は、出張後のAさんに何を期待して出社してほしいと考えるんでしょう?」

Aさん:「出張先での取引先との会議の内容を聴きたがるんだと思います。実際、朝一番に報告をするようにしています」
コーチ :「上司の期待には応えているいるものの、時差は辛い。その後の仕事が計画通りに進められないと言うのが現状ね。理想は?」

Aさん:「理想は、報告はメールか何かで行って、翌日の午前中位はゆっくりしたいですね」
コーチ :「なるほど。そういう自分の意見を伝えたことはあるの?」

Aさん:「いやぁ、そんなこと言ったら、自分の価値を下げるみたいで。上司の代わりに、自分が海外出張できるんですから、弱いところは見せたくないです」
コーチ :「そうだね。時差を克服するのに時間がかかるのは、Aさんの弱みなんだね。では、強みを活かすとしたら、どんな強みをどんな形でいかせるんだろう?」

Aさん:「わたしの強みですか?・・・ん・・どうだろう」
コーチ :「行動予定を効率よく、合理的に立てる力が高いことをどう使うか?来週、また、一緒に考えましょう」

というところで、セッションは終了させました。

誰でも、自分は特別であると思いこみたいものではありますが、組織の中では、それぞれの強みをもつ社員が、強みを使って企業利益をあげるよう努力するのは、組織人としての使命であり、特別なことは何もありません。
今後のコーチングは、「自分の仕事にどんな使命があり、仕事をすることが誇りである」ということに気づかせる方向に設定することが、コーチの私としての最善を尽くすことなのではないかな?と、感じました。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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