ファミリー・コーチング3例~親子のコーチングショートセッション~
今週は、なかなか難しいとされる親子のコーチングのショートセッションをいくつかご紹介します。
ファミリー・コーチング①
【生の会話】
高校1年生の息子を駅まで迎えに行った車の中で・・
母:「何?その声?風邪、ひどくなったの?」
息子:「違う、大きな声出しすぎた」
母:「まぁたぁ・・試合にでない応援団長をするためにクラブ活動に行って、朝早く弁当作って駅に送る私の身にもなってよ」
息子:「違う!僕は、3塁のコーチなの!僕がいないと、チームは点が取れない重要な役割なの。夏大(夏の甲子園地方予選大会)でゼッケンもらえる可能性が、一番高い役割なの!」
母:「あっそう・・だんだん、部員も減ってる
し、何とかなるの?」
息子:「減ったって言ったって四十人いるから、二十人に選ばれるのはたいへんなことだよ」
母:「確立は50%か・・・」
息子:(ただただ、黙って後部座席に深くもたれて座っていました)
【コーチングすると】
母:「声、ひどくかれてるね。何かあったの?」
息子:「うん、ちょっと大きな声出しすぎた」
母:「何があったから大きな声、出したの?」
息子:「うん、今日から僕は3塁のコーチになれた。塁を進めるとき、大きな声で指示を出すからね。僕がいなきゃ、チームの点は入らないんだよ」
母:「重要な役割を任されたんだね。嬉しいネェ・・・。頑張った成果が出てきたね?」
息子:「うん、夏大に背番号もらえるかも・・・」
母:「背番号もらうためには、今の役割を上手くこなせばいいの?」
息子:「うん、それだけじゃやっぱりダメだと思うよ。基礎体力とか、技術もいると思うし・・」
母:「何か手伝えることある?」
息子:「大丈夫。クラブでやればいい」
母:「そう、応援してるよ」
頭では理解しているのですが、やはり自分が疲れていたり、自分にとって不都合なことがあると、会話を楽しんだり、盛り上げたりする気持ちになれず、ついつい、会話をカットしようと
働きかけてしまう。
ファミリー・コーチング②
【生の会話】
中学2年生の息子が、玄関をピカピカにしてくれました
母:「ありゃぁまぁ・・きれいになったねぇ」
息子:「うん、靴は全部下駄箱へいれてね。また、汚くなると、運が逃げるから」
母:「お父さんにいいなよ。靴に泥つけて帰ってくるの、お父さんでしょ?」
息子:「うん、そうだけど・・・お母さんの靴も下駄箱へ入れるよ」
母:「あしたも朝、早くに出かけなくちゃならないから出したままにして!時間がないから」
息子:(黙って、靴を下駄箱から出し、隅のほうに置きました)
【コーチングすると】
母:「ありゃぁまぁ・・きれいになったねぇ、ありがとうね」
息子:「うん、靴は全部下駄箱へいれてね。また、汚くなると、運が逃げるから」
母:「そうだね・・・ずいぶん汚れたままだったもんね。よく気づいてくれたね」
息子:「うん、友達が来たとき、恥ずかしいから・・・」
母:「そうだね。どうせすぐ、汚れるからといって、手抜きしてたからね。きれいにしてくれて、どんな気持ち?」
息子:「気持ちいいよね。ほうきで掃いて、それから水を流して。でも、そんな時間かかってないんだよ。十五分もかからず出来たし。」
母:「いつ掃除してくれたの?」
息子:「朝早く起きた日。お兄ちゃんが出かけるときバタバタして目が覚めちゃったときに、そうだ!掃除しようと思って」
母:「そう、ありがとうね。お兄ちゃんの朝早いお出かけ、もう少し静かにしてもらえるといいね。お母さんからお兄ちゃんに話してみるね」
息子:「うん、このごろ、僕まで寝不足になっちゃうからね」
親子でゆっくり会話をする時間が楽しめると、心の中を共有することが出来るようになります。
頭では理解しているのですが、心や体が「時間」に追われて、ついつい一番大事なことに費やす時間を惜しんでしまうようです。
二人の息子ですが、ゆっくり会話する気持ちを持てば、彼らもそれに応えて話をしてくれます。
ワークライフバランス。難しいことですが、大切なことだと気づかされました。
ファミリー・コーチング③
(スーパーのお菓子売り場での親子の会話)
【生の会話】
母:「早くしないさ。どれか一つだけよ」
子:「うん・・・これとこれ、一つ買うのと同じ金額だから・・・」
母:「ダメって言ったでしょ?一つ。一つにならないなら、もうやめなさい。もう、置いていくからね、おうちに帰れなくなっても知らないからね」
子:「・・・・じゃぁ、これ・・・」
(べそをかきながら、二つ手にしたお菓子のうちから一つを選び、とぼとぼとお母さんの後を追ってレジへ向かいます)
【コーチングすると】
母:「今日のおやつはどれにする?」
子:「これとこれ」(両手に一つずつお菓子を持つ)
母:「そう、二つとも好きなお菓子だね」
子:「うん・・いい?(顔色伺う)」
母:「二つ買ってあげたいと思う。でもね、今から二つ食べるとご飯が食べられなくなると思うのよね。今日は一つにして、明日また一つ買おうか?」
子:「うん・・・・でも・・・」
母:「それとも明日は買わないで明日の分も買っておく?」
子:「それでもいいの?」
母:「もちろん、それでもいいよ。ただ、明日は別のものが欲しくなるとお母さんはちょっと辛いかな?ほんとうに食べたいものをおやつにしてあげたいから」
子:「うん・・・」(迷い始める)
母:「さぁ、あと少しで帰らないと、おやつ買っても食べられなくなっちゃうといけないから、二十数える間にどうするかを考えようか?」
子:「決めた!今日はこれにするね」(一つを選び、一つを売り場に戻し母親といっしょにレジに向かう)
竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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