競争性と指示性の高い人材をどう生かすか編

才能(資質)や性格を活かしたコーチングの事例。
今回は、経験者採用により、中途入社したばかりの社員が、競争性と指示性という才能に恵まれていた場合を考えてみましょう。

協調性の高さと集団行動が職場文化の中で
「競争性と指示性の高い人材をどう生かすか編」

部長:「竹内さん、昨年秋に採用した社員の件で、ご相談したいんですが」
CC:「どんなご相談ですか?」

部長:「彼女に与えてある業務の結果には、問題がないんですが、部内の先輩を先輩と思わないような言葉遣いや態度が気になるんです」
CC:「そうですか。言葉遣いと態度が気になるんですね。具体的に伺いたいですね」

部長:「例えば、先日、先輩社員が彼女に仕事の指示を与えたのですが、笑顔もなく、はぁ・・わかりましたと、どうでもよさそうな感じで答えていたのを見かけたので、注意したんです。」
CC:「どんな注意を与えたのですか?」

部長:「もっとはっきり返事をしたほうが、指示を与えた人間にも快く仕事を受けた感じを持ってもらえるし、責任ある仕事ができる人のように見える。うちは、部内のコミュニケーションを大事にする風土があるから、早く馴染んでほしい」
CC:「彼女の反応は薄かったんではないですか?」

部長:「そうなんですよ。何が悪いの?みたいな顔をしていました」
CC:「そのほかに、何か気になることがありますか?」

部長:「人の会話に首を挟むというか、先輩たちが話をしていると、知識をひけらかすというか。この間も、道の駅の農産物の話をしていたら、いきなり、TTP交渉が成立したら、日本もそんなに呑気なことを言ってられなくなるかもしれませんね、なんていうもんだから、場がシラけてしまって。単なる雑談なんだから、雑談レベルでいい話なんですが、一事が万事です。」
CC:「業務は的確にできるけれども、人間的にどうか?ということですね」

部長:「そうなんです。どうしたらいいのでしょうか?」

この彼女は、指示性と競争性という才能に恵まれています。指示性とは、現場を仕切る能力です。また、競争性とは、まさに他者に負けたくないので行動するという才能です。どちらもうまく伸ばせば、心強い戦力になりますが、入社して間もないという立場では、どちらも発揮することができず、イライラした気持ちが高まっているのではないでしょうか?
また、内面では、コンプレックスを抱えているかもしれず、だから、人には負けてはならないと、才能の使い方に歪みがあるかもしれません。

この才能に恵まれている人は、空気を読むとか、他者への配慮、場を和ませる、間接的な表現が苦手なので、「感じ」「気配」などという伝え方では理解ができないのです。理解できないときも、競争性という才能が邪魔をして、素直に「それはどんな意味ですか?」と、聴き返すことができないので、無表情、無反応になってしまうのです。

このタイプの人材には、できる限り直接的な表現や指示、理論的な伝え方をして、自己納得を促すとともに、人と競うのではなく、自分との戦いを促してください。
締め切りは5日後だけれども、4日でやってもらえたら、次の仕事が頼めるので助かるというような具合です。
また、褒める、認めるという行為も、本人的には、褒められて当然、認められて当たり前という意識がありますから、おべんちゃらは通用しません。
何がどうだから褒める、認めるというように、理由や根拠をはっきり示してくださいね。


竹内 和美

竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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